NK

発声練習を始めてみると、やはり喉を開ける発声が出来ず、喉が無意識高くなってしまう声でした。
合唱団で音程を厳しく要求されるとのことで、音程が♭にならないように強く意識しているのでしょう。
また、声量の問題ではなく響きが痩せて、いわゆる響かない声になっています。

彼女の場合、これが発声上の最も大きな課題と考えています。
つまり、音程を正確に保とうとするあまり、喉が高い発声になり喉を絞めてしまっているわけです。
結果的にそれほど高く無い音程では、問題もないですが細く痩せた響きの印象があります。

もう少しリラックスした豊かな響きが出るはずです。

下顎を楽な範囲で落とすように口を開けた発声が出来ることと、舌先を奥に引っ込めないで、舌をだら~んと、これも楽に脱力させて発声出来ること。
これをどの音域でも心がけてほしいのです。

結果的に高音に昇るほど、

レッスンでの発声練習は、本来の声を取り戻すためであり、合唱団で歌う事とは全く違う事として、
いわば、トレーニングとかウォーミングアップのつもりでやってください。

例えばマッサージに行って、身体全体のメンテナンスを定期的に行う、という意味合いです。

コンコーネにしてもイタリア歌曲にしても、譜読みはきちっと出来、声もそれなりに声楽の声になっています。

こちらでのレッスンに来た時は合唱団での厳しい要求から一歩離れて、音程や響きの高さを意識しないで、まず喉を緩めて開け放った歌声になるよう心掛けてください。

TM

発声上の質問とそれに対する答え、という談話と、発声練習に終始しました。

アペルトとは?デックングとは?キャーロスクーロ?コペルトとは?
イタリア語による発声の用語の違いについてでしたが、発声の先生が書いた本が日本語訳で、用語部分をイタリア語にするため、
訳が分からない状況になっていました。
また、その中になぜかドイツ語も混ざっているため、余計混乱してしまうのでしょう。

それぞれの用語自体は、間違った発声を表すことは一つもありません。
たとえば、アペルトは悪い発声の喩えで良く使われますが、アペルトと言われる発声で名歌手になった人もいますので。

現在のTMさんは、歌う声量の基準がかなり大きい方なので、恐らく下あごの力みが強くあると思われます。
試みに、下あごを動かさないで、半母音(Ja)での発声をしてみると、下顎が強く動く傾向が残っています。
これは、喉頭外筋に強く依存した発声で、特に母音Aの場合顕著になります。

これはこれで、良く出来ているのですが、こればかりを使った発声になるために、全体に力んだ発声傾向が感じられるのです。

そこで、今回はハミングとI母音を使って、鼻腔共鳴的な方法を練習してみました。

ハミングで大事なことは、ピッチが正確に高く合っていることと、響きがすかすかしないで密な響きであること。
この密な響きをなるべく高音まで使えるようになることです。

そして母音のIで発声しますが、これも彼の喉頭外筋を使う傾向が強いために、口を開いてしまいます。
これを、なるべく開かないで閉じ気味の傾向で、いかに響きを作るかという点が大事です。

この時に、ハミングの響きの状態や場所を意識してほしいわけです。

このように練習すると、口先を開けない母音Iでも、倍音が響いた細いが鋭い響きになります。
この響きを基本にして、母音のIからEそしてAへと、響きを変えないように同度の音程で発声をします。

そうやって、母音のAの響かせ方が身につくと、母音の響きが上顎に集まる感じがします。

こうなって、初めて母音のAの良い響きが身についてきます。
結果的に、下あごを関与させなくても、母音の変化がつけられるようになり、これがレガートな歌唱を生み出す基本になります。