ISA
数か月ぶりでレッスンに来ました。
発声練習をやってみると、発声が変わったことが感じられました。
一言でいえば、ソプラノとしての発声を意識されているように感じられました。
声質が低音から高音まで一定になるようにしよう、という意図が感じられました。
それから、この発声を覚えた理由なのでしょうか?声の出し初めに、意図的に息を漏らすような?
息もれの音がすることです。
このこと自体、良いのか?と思いましたが、そのあとのフレーズは息が自然に使えているので、おそらく彼女の感覚に合う何かの理由が、
この声の出し初めの息もれ音にあるのでしょう。
そのため、この点については何も指摘していません。
曲は、
モーツアルトの皇帝ティートの慈悲より、セストのアリア。
山田耕筰の歌曲「君がため織る綾錦」
ベルリオーズの「ファウストの劫罰」のアリア。
トマの「ミニヨン」から「君よ知るや南の国」
現状の彼女のレベルから、どうするか?という観点で、やろうと思えばどの曲でも出来ますが、よりよい演奏をする目的であれば、
山田耕筰の歌曲とトマのミニヨンではないか?あるいはプラスして、モーツアルトのアリアでしょう。
特にモーツアルトのアリアは、アリアの勉強をするのには持って来いだと思いました。
FA
発声練習では、ハミングのやり方を中心に教えました。
これまでも教えてきましたが、なかなかわかりづらいようでした。。
気を付けないと、かえって喉に来てしまいます。
この発声で喉に来るのはなぜか?という感覚をつかむのは本人ですから
喉に来るようにしないためには、どこをどうすれば良いか?ということは、常日頃から感覚をつかんでほしいと思います。
何しろ喉が痛くなってむせてしまうわけですから。
痛い目には二度と会いたくないはずですから、覚えると思うのです。。
答えになってないかもしれませんが、毎回のこのようなリスクに対しては敏感になって、なぜなるのか?
を体で覚えて行かないと、何度でも同じことをやってしまうでしょう。
喉を下げる場合、喉そのものでやらずに、ブレスでおなかをしっかり使うことと、正しい姿勢を保つことです。
あと、喉やのどひこに力を入れないために。下あごを楽にしっかり下すことと、胸が落ちた姿勢にならないようにして、首の後ろがまっすぐ立った姿勢を気を付けてください。
武満徹の「小さな空」キーが低いので低音発声が暗く重くなってしまわないように気を付けてください。
アリアは、プッチーニのトゥーランドットの「誰も寝てはならぬ」
喉を下げすぎの傾向です。
上げては上がり過ぎるし、下げると喉に力を入れ過ぎてしまいます。
それでも、我慢して頑張れば、最後の4点Hまで、出せますが、苦しくて精いっぱいの感横溢です。
喉を上げないが、声は高い場所から上に向かって出るイメージを持ってください。
下に踏ん張ると、喉に来ない感じがありますが、大体が踏ん張り過ぎてしまうのです。
高い音程は高い音程として、素朴に単純に高く出すこと、ただし腹筋で踏ん張って喉が上がらないように気を付けてください。
あとは、喉奥を開く意識を持つことです。
TM
課題は、換声点に近づくと喉を不要に下げるため、無意味な暗いこもった声になることです。
オペラのある種のキャラクターのあるバリトンなら、表現としてありかもしれませんが、発声の基本としてはどうでしょう?
特にテノール目指している場合、4点Dですでにコペルト(デックング)するのはやり過ぎと思います。
これをやってしまう理由は、声量の出し過ぎではないか?ということです。
つまり、声量の基準値が大きすぎるため、どうやっても4点Dあたりでコペルトしないと悪い意味でのアペルトになってしまうということです。
悪い意味でのアペルトというのは、喉を開けるのではなく、声帯を強く当てるために、太い当て方で音程を出すためには、呼気を強くしなければならないため、
声量を大きくしないと高音が出せない状態、という意味です。
自分に照らし合わせて考えてみても、声帯はそうとうデリケートなものですから、声量を大にすれば、胸声傾向の強い声にならざるを得ません。
そのまま高音に行こうとすれば、喉が上がる力が強いですから、喉で抑え込むということでしょう。
しかし、例えばそれが本来の喉の持ち味である場合もあります。
バス歌手になるような大きな喉の持ち主は、です。
バス歌手の高音が否が応でもコペルトになるのは、そのような理由でしょう。
まず音高に応じた自然な歌声を確保するという発想を持ってください。
つまり喉で喉を下げないことを先ず確実にすること。
そのうえで、喉が安定した喉が上がらない状態で、いかに高音発声にしていくか?と考えれば、
そこに至るまでの太く当たった声質を変える、という発想が必要になることがわかるはずです。
これを母音発声で練習する場合は、母音はIにすべき、と考えます。
同時に、鼻腔を意識した発声を会得すること。
彼の場合すでに母音のIでの練習は行ってますが、残念ながら口先を開けてしまい、これが悪い意味でのアペルトにつながっています。
これを強制するためには、母音のIで絶対に口先を開けないように、換声点を通過することを会得することです。
そのためには、喉に力が入ってしまう高音発声を、鼻腔に「逃がす」ようにすることで、喉に不要な力を与えずに、換声点から高音への発声が可能になることが実践を通して判るはずです。
4点G~G♯までは、必ずこの方法で出来るはずですから、練習してください。
この場合、声量には気を付けてください。
MM
今回は、始まりでもう一つ調子が上がらないようでした。
全体に体がしっかりせず、声が安定しませんでした。
そこで、いつも行う母音Miでの下降音型は中止して、上向形で低音からやり直しました。
ある程度発声練習をして、声をある程度取り戻しましたが、やはり今回は裏声になる傾向が強かったようです。
喉の炎症があったのかもしれません。
今回感じた課題は、以前からのことですが、やはり母音を作る位置の感覚が低い場所に落ちてしまうことです。
特に換声点の前辺りでは、このあたりの発声が決まらないために、ファルセットか?力んで喉を押してしまうか?ということになります。
この換声点での母音発声では、口先を開けないChiuso(口先をあまり開けない)を取り入れた発声を覚えなければなりません。
そのためには、鼻腔を意識した発声が必要ということで、ハミングを練習しておくと良いのです。
実際の母音でいきなりやると、どうしても喉に不要な力を入れてしまうからです。
ハミングであれば、内喉頭筋を中心にした練習として響きの質を追求できるし、外喉頭筋を柔軟に使った開口母音の練習にもなるでしょう。
大事なことは、下あごやのどひこに力を入れないで、いかに母音発声を作るか?という点です。
基本的に母音の響きは上顎から上、軟口蓋で響きが存在する感覚を作ってください。
このため、発音の際に下顎を下ろして発音しないようにする癖を徹底してください。
特に母音のAとOです。
またこのために、母音のIで練習をするわけですが、見ていると換声点ですでに大きく口を開いてしまいます。
これが、肝心の内喉頭筋の開発を阻害してしまう原因です。
我慢して口先を開けないで、いかに音程上昇に即応できるか?という点が鼻腔を使った発声です。
そしてこのためにハミングの練習があること、を思い出してください。