TSS

発声練習で、低音発声の出し方を教えました。
なかなかセンシティヴですが、覚えて慣れるしかありません。
方法は、ハミングをやりますが、最初は奥歯を噛みしめて目のあたりだけに響くピッチの高い響きを作ります。
つまり、喉で力まない響きですが息もれがない響きです。

この後、この響きを維持して下顎を下げて口開けたハミングにします。
なるべく下顎を下げて母音Aを歌う口にします。

これで自然に高いピッチでありながら下の響きも付いた安定したハミングの響きになれば成功です。
ここから母音に変換します。

コンコーネの15から13番。
高音発声で抜けがちの響きを修正しました。
彼女の発声は根本的なことですが、息を使い過ぎる発声になっています。
中低音発声で、極力息もれがなく音程の良い声の出し初めを実現することで、フレーズの往来が自由に美しく実現できるでしょう。

La zingara
やはり中低音の声の響きと切れが悪いです。
基本的に今は譜面の声の強弱をつけずに、はっきり歌うことを留意してもらいます。
その上で、大事なことはフレーズのブレスです。
ブレスで息を大きく深く吸わないで、腹筋の動きで入れること。

それと姿勢です。
上記のブレスと関係しますが、声の出し初めで喉が上がってしまうとそれだけで息もれの出やすい声になります。
中低音域からのフレーズの声の出し初めは、顎が出ないように頭が胴体の真上に乗っているイメージです。
つまり、頭全体をもっと後ろにずらす、という感覚です。

モーツアルト「ドン・ジョヴァンニ」から「ドラベラのアリア」
これは高音域への跳躍で喉を良く開けておいてアタックできるように、練習しました。
その場合、フレーズの入りで低音だからといって喉に力が入ると、喉が開きにくくなります。
低音のピッチが低くならないよう注意して、フレーズへの声の出だしに注意してください。

ST

ざっと発声練習をやって、ドナウディのFreschi luoghi prati aulentiを歌いました。
彼女の現状は、小さくまとまってしまうため、結果的に声量の低い歌声になってしまうことです。

発声練習では良いと思いますが、歌の場合に、少なくとも今やっているドナウディの歌曲が持っている力がまるで感じられない歌になってしまいます。
表現と言ってしまえばそれまでですが、歌を歌うことの基本的な要素は、これらの曲にはあると思うのです。
ところが歌い出すと、それらの力が感じられない表面的なところで声を処理してしまう、という感じです。

まず、譜面の強弱表現を一切しないで、基本的な声量をかさ上げして歌ってもらいました。
ただし大声で歌うのではなく、中低音域はピッチを高く響かせ、高音になるにつれ喉を開けるようにといいう基本を守ってしっかり歌うことです。

今日気を付けてもらったのはこのことだけです。

Vaghissima sembianzaも、とても良くなりました。
特に出だしの低音のピッチと息もれに気を付けてもらっただけで、冒頭のメロディが音程が良く、そして良く響く声になったこと。
そしてこの曲の最高音が発声練習では出せなかった明るく鋭い響きになったことです。

以前取り上げたCome l’allodoletta
全体に声量が上がり、最高音の5点Gがとてもきれいに決まっていました。
これを聴いて、彼女の発声が一段進化したことを確信出来ました。