SKM

発声での注意点は、以前から指摘している鼻腔の響きが強すぎる点。
喉側を開けて、柔らかく落ち着いた声色にと指導していますが、喉が緊張しているのか?
どうしても上あごから上の鼻腔だけの響きになりがちです。

良く通る声であることは間違いないです、彼女の場合はこの発声があるために、高音の換声点の前から声帯が開いて
白い声になってしまうのではないでしょうか?
発声は音域に応じての特性があるので、高音域をよくするには中低音の発声から変えて行かないと、上手く行かないです。

落ち着いて、ゆったりとした気分で歌う、という基本姿勢を持つだけでもかなり違うでしょう。
それから、大きな声を出す必要はないということ。
1000人のホールでも、良い声をゆったり出せばピアノ伴奏なら十分に通用する、という声の特性を考えてみてください。

技術的には、換声点近辺から喉奥を開ける発声を練習しましたが、これがまだ実行できないようでした。
身体感覚、あるいは模倣といいましょうか?
言葉のイメージに身体を即反応させる、いわば運動神経みたいなものが要求されます。

今回の3曲のうち、特にヴェルディでこの発声が会得できているか?出来ていないか?が効いてくるでしょう。
声もそうですが、ブレス自体が持つか持たないか?という点が大きく関わって来ますので。

喉仏のさらに下部分に意識を集中して、その部分の気道を拡大すような意識です。
これは歌いながら高音に移行する場合もそうですし、あるいは歌いだしで、そういう意識でブレスを入れるということも良いでしょう。

何度も言いますが、声の出し始めが高いところから始まり過ぎるということです。
彼女の場合、高いところから出すことがイコール喉を絞めることに繋がっているわけです。

この喉を絞めて出すという癖に気づくこと。
そして締めた喉を緩めて出すには、頭や鼻先や鼻根から出し始めないこと。

これらの癖を矯正するために、意識を喉下に持って行って、その場所か、あるいはもっと下げてみぞおちから
声を出し始める意識を醸成すること。
このことを覚えて身に着けてほしいと思います。