GH

発声練習の声は、やや抑制気味でしたが、これが良かったのでしょう。
歌を歌ってみると、大変表現幅のある声で魅力的でした。

トスティの「夢」歌声は、とつとつと歌う素朴だが情感のこもったもので、好感が持てました。
一部、テンポの揺れが、ピアニストに分かりづらい面があったので、整理整頓しました。

さて、シューベルトの「魔王」ですが、
前回指摘した、子供の声の部分がとても良かったです。
父親も良かったが、魔王の部分が良く分からなかったのでした。

魔王は、おどろおどろしいのではなく、軽くいやらしい感じということにして、通してみましたが、
三者三様のドラマが良く表現できて、とても興味深い「魔王」になりました。

単なる表現だけではなく、楽譜を子細に見れば、強弱も細かく指示されています。
MfやFばかりで歌う曲ではなく、PやPP、PPPまで、実に繊細な弱声の指示もあります。

歌声の表現についても、この強弱の指示から類推して、どのような表現で歌うか?ということが決められると思います。
ピアノ伴奏も3連符の馬の疾駆する勇ましい姿だけではない、奥深さを良く表現することで、歌手も自在に表現できるようになると思いました。

この曲のピアノ伴奏は、延々と続く3連符を弾くだけでも大変ですが、漠然とした勇ましさだけに陥らないように、注意して弾く必要があると思います。