OM

Vaccajから
3番は、特にEの母音に顕著ですが口腔内が狭いため共鳴がない狭い響きを直しました。
Bellaなどは、破裂音の子音ですが、口奥を拡げた状態で唇だけを軽く合わせて発声する、という具合です。
また、5点Eは換声点の直前で喉が上がりやすいので、喉を上げないようにする意味でも、口を縦に開けるように発音することも意識してください。

次が12番。これは速いテンポの下降形の16分音符の処理が課題。
細かい音符だとHを混ぜやすいですが、これはイタリア的には×です。
音程を意識しないで喉をゆらすようにすると、上手く行きました。
喉そのものに集中することです。

コンコーネの50番から47番。
これは、少しドラマティックな音型の連続です。
特に冒頭の3連符の下降形は、最初が5点Eで、これも喉が上がってしまいます。
下降形の場合、最初の声のポジションを低く構えておいて低音に降りるほど頭に昇るようなイメージで歌うと、響きの整合性が取れて安定します。

5点E~Fは、音程に応じて素直に喉を上げないで、声を少し飲み込むような意識で発声してください。

歌曲はドビュッシーのBeau soirから。

ここでも5点D以上の喉の上りが課題になりました。
また特に狭いeの発音・発声が課題になりました。

フランス語の語尾によく出る狭いEの母音発音は、U母音の発音を基礎にしてEを言う感じとします。モラーヌの流儀です。
つまり口先を丸くして、舌根が下がった響きになりますので、響きは丸く暗いのです。

なせそうするか?というと、狭いEは鋭い響きになりやすいからでしょう。
狭いeは単語の語尾にあることが多く、その意味でも鋭く目立つのは美しくないわけです。
このU母音を応用することで丸く滑らかに処理できることが、語感を大切にする歌曲にはふさわしいと判断したのではないでしょうか。

モラーヌの流儀、もう一つは鼻母音は辞書的には4つありますが、3つのE,A,Oに簡略化します。

Beau soirの中間あたりにある、Un conseille de goutter…の冒頭の不定冠詞Unは辞書ではOEの鼻母音になりますがEの鼻母音にします。

あとは、DesやLesなども、辞書的には狭いEですが、広いEにします。
その方が、響きがソフトでありながら良く響くからです。

サビの部分の最高音はBの破裂の子音を利用して、喉を良く開けた喉の上がらない高音発声を目指してください。結果的にブレスが伸びるはずです。
Elle a la merは、低音ですが、地声を少し混ぜても構わないように思います。
その代わり、声量には気を使ってください。

最後にプーランクのFiacncaille pour rireから1番2番6番を練習しました。
低音を少しチェンジさせても良く響かせると彼女の声は良い感じです。
また、レガートに歌うという意味でも換声点前の声の扱いで、喉が上がらないように注意してもらいました。

喉が上がりやすい換声点直前への低音からの跳躍の際、音程感を意識すると良いでしょう。
正しい音程にはめよう、とするのではなく、基音の中から自然にその音程が生まれる、というイメージで発声すると喉が意外なほどに上がりません。
喉は、音高という意識に敏感に反応するからです。