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発声練習は、特に中低音で良く響く声になったと実感した。
以前のようにこもらずに、倍音のある声帯が合った響きが出せてきている。
一方、換声点近辺から上にかけての辺りになると、下あごを降ろして喉を深く掘る感じが気になった。
いわゆるクヌーデル(丸くこもった)な発声になっている。
彼女の場合、以前から中低音からこのクヌーデルが出ていたので修正するレッスンをしてきた。
中低音の課題はほぼクリア出来つつあったが、換声点についてはあまり気になっていなかった。
対処法として換声点でクヌーデルになる場合は、下あごを下げて口を大きく開けずに声の響き(息)を軟口蓋から上の頭部に上げ入れてしまうイメージを持つと良いだろう。
そのことで多少響きがくぐもる傾向はあるが、こもった暗い声にはならないし、音程感も良い。
慣れてきたら、再び喉を開ける発声で声帯をより合わせることを覚えることで、芯の明快な高音発声になるだろう。
曲は「春なのに」から。
前回と同じく、歌詞が不明瞭になる傾向が気になった。
不明瞭になる原因は、声のクヌーデルにもある。
クヌーデルになる傾向があるのは、発声もあるがメロディのキャラクターに歌詞の発音が負けているからと思われる。
音楽的なエモーションに浸ってしまうと右脳にバランスが偏るため、歌詞を語るという左脳的な働きが鈍磨するのではないか?
あえて朗読の練習をして、もう一度歌いなおすことで、このアンバランスが改善されると思う。
フィリップ・ロンビのアヴェ・マリアはきれいに歌えていた。
特に最後の5点Gで伸ばすAmenの声は音程と声質ともに、十分である。