YH
スポットレッスンだった。
音大卒、仕事でブランクはあるが復活してレッスンに通いながら演奏活動をされているとか。
声は非常にリラックスした喉で軽やかで気持ちの良いレッジェロな歌声であった。
特に発声練習では高音への換声点を超える辺りから上で、全く楽に歌えている点が良かった。
その直前の響きも、良いミックス具合で、気持ちの良い声だった。
ただ、指摘はしなかったが、小換声点直前辺りで、低い共鳴が出て、やや地声っぽい感じが合ったのが気になった。
フォーレの「ネル」をレッスンした。
歌う基本が出来ているので、発音の修正と声の強弱のニュアンスについて。
特に発音は、狭母音が暗く狭くし過ぎになる点を修正。
とはいえ、これは発声の関係もあるので、修正には日数がかかるだろう。
ニュアンスは、この音楽の本来の姿について話をした。
本来と言ってもフォーレが指摘したわけではないので、あくまで楽譜を子細に検討しての結果である。
四分音符=66と書いてありながら、Quasi allegrettoという指示は、急がないで軽やかさを含ませるべきと解釈したいこと。
そして、強弱の指示はPやPPがかなりの割合を占めていること。
このことから、もう一度この音楽を考えれば、一見華やかで明るい曲似見えながらも、
とても繊細な表現を望んでいることが判るだろう。
そうやって歌って行くと、中低音域の声の微妙なピッチの問題が浮き彫りになる。
これは、弱声をどのように扱うか?という技術的な問題が関係するだろう。
SGJ
スポットレッスンだった。
旧くから友人。
以前にも1回レッスンをしたことがある。
音大を出て留学もし、フランス居住されて一時帰国の方なので発音うんぬんよりも、声のことが中心となった。
中低音は気持ちよく明るく前に響く声だが、換声点の通過をそのままの声で通すため、換声点を過ぎるとやや苦しくなるし、何より声量のコントロールが効かない声になる。
最終的に、換声点の通過を課題にするというよりも声帯を開く発声を教えたことになるだろうか。。
聴く限りは、声帯を良く合わせた声になる嗜好性があるが、それが換声点の通過を難しくしている面があると感じられた。
現状は、口を大きく開いて出す歌声にあることが、特に高音発声で障害になっていると思われた。
特に練習したのは通過の仕方ではなく、高音区の発声。
つまり通過の仕方を飛ばして高音発声を決めれば、通過方法が自ずと判るのではないか?という考えによる。
効果があり、解りやすいと思われたのが、スタッカートの練習と、息を吐く練習から声にする方法。
スタッカートは最高音で声帯を明快に閉じるために、声を当てる場所を喉より深い場所に意識する方法。
呼気はお腹を意識するのではなく、喉から上、つまり喉で当てる感覚である。
お腹を動かすと呼気が強すぎるし、本質的に間違った発声を導いてしまうからである。
スタッカートはお腹→喉ではなく、喉→お腹である。
つまり喉で声を当てるから、お腹が釣られて動くのである。
また喉で当てる意識があるから、声帯は綺麗に閉じてくれるのである。
もう一点は歌声のイメージを呼気を吐くことを強く意識することで、作り直すこと。
息を頭に向けて吐くと、呼気が軟口蓋に当たって共鳴音がする。
この時の口腔内の感覚をそのままに、母音発声してみるのだが、声を出し始める場所を軟口蓋辺りに意識する。
この方法で、声帯狭窄を起こさない、声帯が適度に開いた発声を練習出来るだろう。
なぜなら、音に意識を向けずに息に意識が向くからである。
声の出し初めの意識の持ち方は重要である。
些細なことだが、声を出す瞬間に声門を必要以上に狭窄させてしまう可能性は大きいと思われるからである。
それと高音への換声点から上は、前述のようにスタッカートの練習をすることで、喉より下の部分に声を当てる意識を持つことで、
呼気を強く使ってしまい開き過ぎる声帯を、綺麗に閉じさせる効果を見つけられるだろう。
曲はプーランクのLa courte paille全曲。
彼女は語りが得意なようで、必然的に速くて言葉数の多い歌詞を歌い語るのが得意の要である。
ゆっくりした1曲目、3曲目、5曲目、7曲目が課題だった。
単純なことで、弱声でレガートに歌うにはどうすれば良いか?
息を保って高く明るく響かせることになるだろう。