MM

4か月ぶりくらいか、ウィルス騒ぎで間が空いた。
発声練習の声は頭声の傾向が強く、結果的に高音発声に無理がなかったし、中低音もピッチの良い声で文句なし。

しかし、歌になると俄然、彼女の癖が頭をもたげてくる。
つまり下あごと舌の力みが発声に影響を与えてしまうのだ。

舌先を前に出し気味に発音することや、母音の響きの場所を上あご奥に意識を強く持つこと。
そして高音への換声点近くなり喉が上がり、締まりつつあるポイントであごを引くことで喉を上げないフォームを取ること。
この姿勢の変化を怠って、喉を下げる、という感覚だけで対処するために、結果的に胸声のまま換声点の発声になり、喉が持たなくなる、という繰り返しに陥るだけである。
この喉で押す胸声傾向の発声は、呼気を強く使わないと音程が出なくなるため、余計に喉に負担が来やすいという悪循環に陥る原因でもある。

曲はIl bacioであった。
中音域は、もっともっと鼻腔共鳴ということを意識すること。
つまり、これも下あごを使わずに、ハミングで感じる軟口蓋に響きの核を感じる発声をすること。
そのために、下あごでの発音を抑制する必要があるし、結果的に喉を上げないフォームするためにも顔をしっかり立てた姿勢が大事。

要するに喉や舌で喉仏を強制的に下げる発声を徹底的に排除することと同時に、その喉を上げないように対処する意識をしっかり持つこと。

これらの発声によって、響きを喉に落とさずに上顎あるいは鼻根に響きを意識できるであろう。
息も通る感じがするので、楽になるはずである。
楽にできないとすれば、息の出しすぎ、つまり声の出しすぎでもある。

響きのポイントを高く保ち、声量を程よく保つことの2つは大事である。

ミュージカルのCatsからMemoryを、改めて耳慣れたメロディだがよいメロディだなと感慨を覚える。
やはりここでも、中低音域は響きを高く、鼻腔の発声を覚えてほしい。
下あごを動かす発音を抑制することで、響きを上顎から鼻腔に通す感じである。

このことで、倍音が豊かになり通る声になる。
感覚的には、舌根をまったく使わない発声である。
喉を下げるのではなく、上げない発声、と覚えておくとよいだろう。

途中で転調し、およそオクターブ上で冒頭のモチーフを歌うときは、まさに喉を上げないためにしっかり下あごを抑えるように引いた姿勢を取り、しっかり前に向けて訴えるように歌うと音楽にふさわしくなるだろう。

地声領域は、しっかり落とした声で歌うべき。ただし出しすぎないで音程よく丁寧に扱うこと。