TM

発声については全体にバリトンらしさが生まれつつある感じ、良い感触である。
大きいのは小換声点の4点Cくらいからの声がお腹を保ちつつ天井の高い声になっていること。
ハイバリトンの良い中高音発声である。
このままなるべく4点Gくらいまで、この声を保ってほしい。

逆に中低音はやや硬すぎか?
恐らく共鳴を意識していると思うその狙いは良しとしたいのだが、軟口蓋を緊張させ過ぎではないか?
むしろ軟口蓋を緩めて声帯自体をリラックスさせた響きにした方が彼の場合は良いと思う。
また共鳴腔ということでいえば、喉側を意識した方が良いだろう。

これは今後の課題としたい。

発表会のプログラム4曲を練習した。

「夢のあとに」はやはり語尾のEのあいまい母音の処理の練習に終始した。
これこそ軟口蓋を使って息を当てて共鳴を誘うようにすること。
つまり喉で当たってしまわないようにする方が、語末のあいまい母音としての響きの減少感が自然に出るということである。
もう一点は、彼については口を開けること。
彼の意識は、Eのあいまい母音が狭すぎるのである。

かといって広ければよいわけではないのが難しいが、どちらかといえば広く感じる方が彼の現状には合っている。

「9月の森の中で」
Aや広いE,Oなどの開口母音は特に気を付けることとして、口から声を出す意識ではなく、身体に響かせる意識である。
ただ気を付けてほしいのは、身体に響かせようとすると大声になりやすいことである。
これは要注意。

「マンドリン」
イメージはセビリアの理髪師のフィガロのキャラクターを。
男らしく、しかしユーモアを忘れずに。チャラチャラではなく男らしさが大切。

「ネル」
弱声で声を抜かない事。声の強弱よりも基本の良い声を決めることが大切。