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プーランクのAir chanteは、テンポの設定がほぼドンピシャに良い所に落ち着きました。
ピアノのテンポの乗りが良いので、それだけで音楽が良い場所に収まって聞こえます。
強いて言えば、2曲目は少しだけ落ち着きがあっても良いと思います。
歌声は、喉が温まれば温まるほどに良い声が出て来ます。
今日も、レッスンが終わるころには絶好調の声になっていて、このプーランクの現代的な歌曲の雰囲気を充分出せていました。
当日は、充分喉を温めて本番に臨んでほしいです。
「マノン」のアリアJe suis encore tout etourdieは、まだ硬さの抜けない歌唱でした。
何とかしなやかなこのアリアのドラマを出してほしいと思い、音楽からアタックしないでステージングを考えてみました。
アリアは、その点において歌曲よりはるかに楽です。
なぜなら、抽象的な詩ではなくリアルなドラマ表現ですから。
修道女になるために、地方から都会に出て来た若い女が、その旅で経験した好奇心溢れる出来事を
喜びにあふれて、迎えに来たいとこに話して聞かせる、というシチュエーションになります。
歌全般にわたって、若い女性らしい喜びに笑い転げる様子がフレーズの形に出ています。
歌う時にどちらを向いて歌うか?を決めることによって、語る相手がいるのか?独白に変わるのか?
が、歌手に良い集中を与えてくれるでしょう。
それから、間奏でどう動くか?間奏にも意味が必ずあるわけです。
いずれにしても、それらは音楽表現のためにあります。
再び、音楽の側面から考えてみれば、歌詞の語りのスピードが楽譜に顕れていますから、テンポが速い所、ゆっくりなところを
充分メリハリをつけるべきでしょう。
特に速く語る所は、思ったより早く歌うべきと思います。その方が笑い転げて喋るセンスが感じられるからです。
無意味に遅く重く歌い過ぎないで、全体をさらっと仕上げるのがコツだと思います。