GH

伴奏合わせのレッスンだった。

トスティ「別れの歌」から歌ってもらった。
前回までかなり練習した声のポジションのことが元に戻っていた。
恐らくピアノ伴奏のリズム感との関係もあるだろうし、ある種の気負いがあったかもしれない。

何が問題か?といえば、何か息漏れ気味の声で高く歌おうとすることである。
これがピアノ音楽とマッチしないのである。
悪く言うと、口先の声になってしまう。

歌う姿を見ると、息をして歌い出すときに、肩を上げて緊張した体つきで歌い始める様子が見て取れた。
これは行けない!と思い、ブレスの方法を改めて確認し、順守してもらった。
また、これまでも何度も指摘したことだが、で始めのPartirのA母音は出す瞬間に息を下に向ける意識で歌い出すと良いポジションに落ち着くはずである。

次のシューベルトの「月に寄せて」
これは、トスティで修正できた発声がまだ難しさとして残ってしまった。
これも練習を重ねたが、ブレスのお腹の使いかたと同時に、能狂言の声色を真似してみるということも、喉を上げない発声という意味と
中低音発声の共鳴という部分で有効であった。
また、ブレスをお腹で意識して、歌っている際にそれを支えて行くように、という指示によって、声の響きに芯が出来て、しっかりしたいわゆる「腹の付いた声」になった。
昔から言われているように、お腹の付いた声ということは、声楽発声においても正に字義通りなのである。

全体的には、充分に歌詞内容を勉強し、表現に配慮した歌唱になっているので、後は最も根本の「声」が今回の重要課題となった。
これからも、この発声の基本を忘れずに次につなげて行ってほしい。