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季節のせいらしく喉は本調子ではなかった。
中音域の声の響きが薄く、そのせいか高音も本調子とは行かなかったが、歌い進むにつれて好転した。
発声練習に15分ほど費やして、喉を温めてもらった。
IEAの母音進行で5度スケールを1オクターブほどで充分に練習した。
ベッリーニの「ノルマ」からCasta Divaを練習。
最初は全体に喉が馴染まず、口先の声になる傾向だった。
そのため、Asの短度下のF音を出して、その延長上のAs音を出して歌い出す、ということをやってみた。
このことによって、中音域の声の響きに充実感が出る。
このアリアで頻繁に出てくる修飾音は、小節線内のリズムに無理やり押し込めないで、声を綺麗に聴かせるためのリズム感で歌う方が良いと指摘した。
もちろん、あまりに字余り的になるのも良くはないが、無理やり拍節に入れ込めるのは、聴いていて狭い感じがするであろう。
それから特徴的な半音音階の歌声にも注意を。
正確にかつ滑らかに。
それは声を張り過ぎないことで、丁寧に出来るようになるはずである。
高音域はフレーズを歌う中で、上あごをかぶせるようにすると喉を締めない歌い方につながる、ということを伝えた。
全体にテンポが速くなってからの部分は、まずゆっくり確実に歌って練習し、正確に出来るようになってからテンポを速めて行くと良いだろう。