SNT

発声練習

時間があまりなかったので、5度スケール、アルペジョ、で終わりにした。
高音域までしっかりした声を出そう、という意志が感じられた。

パノフカ24番

音程の課題だが、跳躍で高音側の発声が遅れることや少し不安定になる点が気になった。
喉を上げないで対応するためには、声が少し中に入る感じというか?頭声に代わるというよりは、微妙な声の変化に目をつぶって喉の移動を抑えること。
これは、恐らくどの音域でも同じことなのだが、特に換声点前後辺りに低音域から跳躍する際に生じやすい現象なので、対応を意識してほしい。
ただ喉の状態だけを意識すると、音程が♭になる点は注意してほしい。

ロッシーニ「約束」

声のことは、これまで教えた通りで、しっかりと意志のある歌声になっている。
後は、THさんのレッスンでも話をした作品中の人物の性格や感情を、歌うものが良く感じ取って再現することに留意をしてほしいと話した。
歌詞もさっぱり歌うだけではなく、もっとしっかり語る方向で良いと思う。

フォーレ「私たちの愛」

歌声よりもピアノとのアンサンブルが課題。
ピアノ伴奏は、この伴奏形を徹底したイン・テンポで弾いた方が、フォーレの意図した音楽観が表現されると思えた。
その分、歌手は短いブレスや細かい発音を素早く扱うことに充分注意して、イン・テンポを歌い通してほしい。

モーツアルト「フィガロの結婚」より伯爵夫人のアリア「楽しい日々はどこへ」

今回はこれまで課題としてきた諸々のことが煮詰まった、大変に良い出来となった。
レチタティーヴォのドラマからアリアの感情表現が、良い声の基準で最後まで歌い通せた。
この調子で、本番を迎えられれば充分であろうか。
強いて言えば、Dolceの指示のあるLa memoria di quel beneの表現は、もっと出してよい。

また、2回目のテーマのフレーズは重くならずに、淡々と過ぎて、中間部に入る方が良いだろう。

ST

発声練習

特に課題を設けずに喉を温める程度だったが、今回は4点bから始めた。
低音の声を聴きたかったが、特に悪い地声にならず頭声を混ぜた発声に対処出来ていた。

モーツアルト「ドン・ジョヴァンニ」からエルヴィーラのアリア3番から

声がやや強過ぎる印象があったが、うまい具合に声がチェンジ出来ていて音楽的に歌えていた。
音程の跳躍幅が大きいメロディなので、特に低音に降りる時に低音側にチェンジしないように注意を要する。
逆に換声点から上に跳躍する場合も、要注意である。

同じくエルヴィーラのアリア8番

こちらは、後半のメリスマの音符の粒感と音程感が練習を要した。
5点Aに上るための5点Dが大事であることと、5点Dに至る低音域の歌詞Fallaceの5点Gからの5点Dまでの音程感と粒感を丁寧に歌えるように練習した。
粒感は、Hを混ぜた息で当てるようにした方が、このケースでは治しやすい。
最終的にHはないに越したことはない。

同じくエルヴィーラのアリア11番

レチタティーヴォは、感情表現に変化が良く顕れており、今までにない彼女の積極性が感じられた。
アリアは、3回モチーフが繰り返されるのだが、2回目の展開が短調になり、その後メリスマが続く部分の音程感を明快にすることを良く練習した。
プログラムとして考える時、前2曲を歌ってこのアリアとなるため、声の力みに要注意である。