SNT
発声練習。
5度スケールから5度のアルペジオ、オクターブのアルペジオを練習。
喉の暖め程度である。
発声練習は、歌声を器楽的に扱うという意味で、良い意味での機械的な正確さを旨としてほしい。
木下牧子の歌曲
「くるみ」
前回のレッスンでも指摘したように、伴奏音楽にはリスのかわいらしさが表現されている。
そして歌詞は可愛いリスへの慈愛に満ちた眼差しに満ちているようである。
音楽と詩の結び付きに、どのように音楽的にまた詩的な表情として演奏できるか?
基礎的なことを一つ書くと、テンポ指示が四分音符で100となっている。
このテンポで伴奏を弾いてみて、そこから上記の雰囲気を掬い取ってみる。
歌は、アーティキュレーションに忠実に従ってみることで可愛らしさが自ずと出るだろう。あるいは判るはずである。
歌は音符を置きに行くのではなく、文節のまとまりを語るようにするために、4拍子に素直に従わず2拍子で歌う感覚を持ってみてはどうか?
「竹とんぼに」
とても抒情的な歌であり、高い空に飛んでいくことへの夢と希望と情熱が溢れていると思う。
歌詞の言葉一つ一つに、それらの感情が良く籠められているだろうか?
そこを決めない事には、この曲の持つ価値が充分に表現されないと思う。
音楽から離れて歌詞だけをもう一度よく読んでほしい。
「なるべく高く」「いってしまったらどうしよう」「ちへいせんをこえて、まひるのほしにあいにいったら・・こっそりもどってきて~」
これらの言葉はどうだろう?
そこについている音楽はどんな表情だろうか?
作曲家がこの詩に込めた思いが、良く分かるのではないだろうか?
「おんがく」
基本はテンポ設定。四分音符=63がこの音楽の核心を表現する鍵であろう。
この曲の全体的な印象は、恐らくSNTさんが感じているよりも、はるかに情熱的な表現を求める音楽ではないか?
例えば、最後の最高音を歌うフレーズはGである。
きれいな声の前に、この音楽の激しい感情を直截に表現すること。
つまり、気が付いたら出ていた、というようなことも大事なのである。
「神様だったら見えるのかしら?」という問いかけは、逆に見れば詩の主人公には音楽が見えない歯がゆさがあるのだろう。
見えたらもっと音楽を楽しめる?音楽を理解できるのに、という主人公の熱い思いに共感を持てるかどうか?