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発声練習
発声練習に限るが、余計な力を使わないという点で評価できる感性である。
恐らく本人にとって判りにくいのが、声量と喉の使い具合の関係だろう。
特に低音部の声の出し始めで、ある程度以上は響かせる力が必要である。
グラスハープを綺麗に鳴らすために、コップの縁を擦り始めるときに、その擦る頃合いが大事であること。
あとは、高音の換声点の扱い。
口を開けてみることと、そのタイミングである。
そうした一見歌と関係のないような無機的な行為が、声楽の音楽性を伸ばす技術的な意味を成す。
何でも型があるように、発声練習でも歌でも型を大切に集中してみることも大事だ。
トスティのソルフェッヂから43番
これは発声練習でも感じるのだが、基本的に声を響かせる意志が弱い感じ。
これも個性差があるが、前述のように無機的な対象を感じてしまうと、力が発揮されないのだろう。
例えば長調であるメロディのキャラクターに加えて、リズム感はどうだろうか?
そういう音楽の特徴を考えて歌声を扱うことは、練習曲と言えども歌声を完成させる意味がそこにある。
細かい点では細かい16分音符を丁寧に扱うこと。
3連符を3連符らしく扱うこと。
つまりリズム感である。
メロディのキャラクターとリズムのキャラクターと言う2点を考えて時に、どういう声を出すのか?
ということまで考えて歌ってほしい。
次回もう一回復習することにした。
イタリア古典歌曲集から
O del mio dolce arodor
飾らない人柄に感じるが、歌には独特のダンディズムを見せることがある。
その意味でイタリアのバロック作品は似合っていると思う。
課題は、やはり高音の発声。
それでも4点Eは確実である。
4点F~F♯、そしてGまで出来れば完璧だろう。
今回指摘したことは、高音の声にも威厳を持たせるようにという点。
つまり、喉の上がった細く絞まった声にならないように。
ここでも発声練習で試してほしい口を開けて喉を上げないようにする開け方、その頃合いとタイミングである。
Nel cor piu non mi sento
歌詞の内容にも関わらず、イタリア風に楽天的に洒脱な男の雰囲気が出ていて良い。
最後のフレーズは一息で歌えれば理想だが、無理は禁物。
最高音で威厳のある良い声を発揮させるためである。