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彼女も本番前最後の伴奏付きレッスンとなった。
フォーレ「尼院の廃墟にて」
テンポと歌声は共に申し分ない印象であった。
一部のリエゾンをすべき個所を指摘した。
本番は緊張もあるので、テンポを落ち着いて急ぎ過ぎないよう留意を。
フォーレ「ネル」
本人の感性によりテンポを少し速めた。
彼女には難しいオリジナルキーであったが、声はレッスンで指導した発声が実行出来たと感じられた。
一言で言えば高音を無理に呼気で強めない発声である。
所々長いフレーズがあるのは、高音混じりのフレーズで息の配分がある。
そのため、フレーズ後半で急激にディミニュエンドすることを指摘した。
具体的には息を止めるようにして持たせるのである。
あるいはフレーズ中の最高音を抑制するか?どちらかであろう。
團伊久磨「藤の花」
彼女の声の特徴としてピッチが高めに行くことが、この作品を歌う場合に注意すべきこととなった。
転調が頻繁にあるが、それらは古典的な和声感に則っている。
従って、その音程は通常のドレミファソであり、大事なことは主音のドが明快になっていることであった。
それぞれのフレーズでこの主音を良く感じた上で音程を捉えなおせば、自ずとこの曲の美しさが表現できる。
信長貴富「夕焼け」
この曲は統一的な音調のためか、前曲のような音程の問題はなく美しく歌えていた。
難しいのは高音のフレーズだったが、これも練習の甲斐あってか丁寧に処理して歌えていた。
強いて言えば最後の楽節が低音から始まるため、直前に終わる高音から低音の音程に正確に戻れるかどうか?という点に細心の注意を以てほしい。