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発声練習

今回は中低音はかっとして特に高音の頭声発声を伸ばす練習をした。
そのために、母音もA母音ではなくU母音を利用した。
これだと下あごの力みが使えないはず、と考えた。
ところが、長年の癖で高音換声点から下あごを降ろして胸声要素を利用する傾向が出てしまった。

モーツアルト「フィガロの結婚」からスザンナのアリア「とうとう嬉しい時が来た」

前回に引き続き跳躍音程、特に換声点近辺に跳躍する際に高音側で声を不要に押してしまう点を課題とした。
具体的に何が問題か?
それは、旋律の滑らかさが失われることで、このアリアのセレナーデ的な静かさが失われてしまう点である。

イタリアのロマン派以降のオペラアリアの歌唱法の影響について

往々にして高音に向けてクレッシェンドするもの。
これは一つの表現であって基本ではないと悟るべきである。
ロマン派以降のイタリアの声楽作品においては、高音の特質が「感情の高まり」であったり「開放」という位置づけが大きい。
しかし、ロマン派以前つまりバロックや古典作品においては、感情よりも音楽の修飾性の美を表現しているものである。
そのためには、メロディをなるべく滑らかに歌える器楽性が必要なのである。

ヘンデル オラトリオ「時と悟りの勝利」と「ジュリオ・チェザーレ」からクレオパトラのアリア「もし私を哀れと思わないのでしたら」

前回まで相当厳しく高音の頭声発声やレガートに歌うことを指導した結果が吉と出た形である。
特にピッチがぴたりとはまった声は非常に爽やかである。
歌声の発声は一つの癖であるから、癖を修正するのは本当に根気がいることだと思う。