AY
発声練習を聴いて見て感じた結果、練習したことは・・・
1、声の原型をもう一度再確認
2、中低音域の声区の確認
3、中低音域の母音の響きの確認
となります。
1、では、声帯が綺麗に合った状態の声を作ること。
とにかく下顎を降ろして喉を深くして、そのままの状態で歌うために、声がこもってしまいます。
これは声帯の声の感覚に直結した部分のことになります。
母音はEにしました。日本語ではエとなります。
声帯が合い易いことと、舌根が下がらないことが、この場合のメリットです。
そうやって出る声は、良い意味で直截で明るいです。
喉で出している感じがしても良いのです。
まずこの直截な感覚をもう一度呼び戻して下さい。
その上で、響きを喉から上に持って行く方法を取ります。
ただ、そのために、今取らなければならない癖を取ることが先決であるために、このような発声練習をやりました。
2、は、低音の1点Eから下の音域で、思い切ってはっきりと地声で始めてそのまま上がると、1点Fから上の中音域の声は
自然に頭声とミックスした声になります。
これは、声の芯を明快にするために効果のある発声です。
3、は、AとOを発音する際の下顎の抑制です。
下顎を使わないようにすることで、AやOでも声帯が合った中音域の響きが得られます。
またそのことで、軟口蓋の使い方を覚えるでしょう。
下顎の使い方を徹底して抑制して、声の響きがどう変化するかを見つけて下さい。
曲はバッハの世俗カンターターのアリアを2曲練習しました。
実際の曲中では、3、の母音の響きを統一出来る方法を中心に練習しました。
高音の声は、音程が良く無理のない発声ですが、やや白い声になります。
これも、2点Aくらいまではもう少し口の開け方を抑制してみても良いでしょう。
2点Aから先は、また開けて行く方向だと思います。
しかし、いずれにしても中低音の発声が変わると、高音の声も自然にそれに対応する、と思っています。
TK
発声練習では、彼女の場合、基本的にLuの母音で練習するのが、もっとも効率よく良い響きを出せるようです。
彼女の声は、全体に良く鳴る声なのですが、ギターなどの弦楽器でいうと、コマに近い部分を鳴らしている印象があります。
もっと中央のたっぷり響く場所を見つけて鳴らした方が、良い声になります。
この意味でいうと、母音をUにして、子音をLとしてLuで練習をすると、良いポイントが容易に見つかります、
もう一点、地声のレベルで練習を続けると、上の2点Fまでそのまま上がって行けます。
実際は、ミックスしているのですが、普段出す声とは明らかに違いますが、中音域の声は、地声ではありません。
この辺り、未解決な点が多いのですが、もっと使えそうな気がしてなりません。
更に続けて練習してみたい所です。
今日も、ドン・ジョヴァンニからエルヴィラのアリア、Mi tarid quelle’alma ingrataを練習しました。
彼女の発声の基準からすると、ほとんど文句の無い、良い声の響きが出せていました。
しかし、更にこの声の響きを良くするべく、徹底練習をしました。
どのような点か?というと、一言でいえば声の響きに息の流れを必ず作ってやるような、発声、というとになります。
あるいは。共鳴、でも良いでしょう。
直接的な声の響きを口から直に出さないで、口の中で響かせる、反射させたものを、結果的に聞かせるようなことです。
イタリア語では、ジラーレと言う云い方をします。
回転する、と言う意味ですが、要は声を直に出さないで、廻すようにするというような意味でしょうか。
この方が、実はホールではきれいに拡がりのある響きを持つことが出来ます。
よく言われる「喉を開く」と言う行為は、実はこの点において、もっとも大切なことです。
喉を開く意味は、フレーズの最初の声を出し始める時よりも、むしろ高音に昇ろうとする際の方が大切なのです。
弦楽器で云えば、弓を強く押しあてないようにして、響きを増す行為、とでも言えるでしょう。
弦楽器の例えで言えば、音程を変える時に、弓の動きを加速することで響きが変わる、ようなイメージです。
この時に弓のボーイングでやらないで、弓を強く押すと良くないのと、似ていますね。
これを息を吐く力で絶対にやらないことです。
口を、更に開いて行くことでやってください。
AS
少し苦労はありましたが、この1年でかなり発声が改善されて来た、と実感しました。
特にこの半年でしょうか。
とにかく元気いっぱい声を張り上げる、というところから、声を良い意味で抑制して
コントロールする、ということを覚えたと思います。
この状態を身体が理解しないと、更に発声で必要なことは何か?ということへの気付きもないでしょう。
確かに歌心をなくしてまで、クールに発声を重視する必要があるのかどうか?特に高音の発声は難しいものがありますが、
かといって気持ちだけで何とかなるものでもありません。
バランスを重視して、丁寧に根気よく発声を覚えて進歩して下さい。
トスティの歌曲とドビュッシーの歌曲に挑戦しました。
トスティは、チェンジの声が、以前に比べて安定しました。3曲をざっと通して終わりました。
丁寧に声を扱っているので、今の所、特に細かい指示はありませんでした。
やったことといえば、やはり朗読です。
朗読では、イタリア語のアクセント位置を正しく把握して、フレーズをアクセントを1つのリズムのように感じて
歌うように語ることをします。
これを徹底して練習することで、何の変哲もない音符の連なりのメロディが、実に陰影に富んだものになるから
不思議です。
これは、何語の歌でも共通の、とても大切なことです。
大きな声で歌わずに済むので、家での練習に最適です。ぜひ取り入れて下さい。
この時、なるべく声のトーンを高くしましょう。
女性なら声を返しても良いでしょう。
返さなくても、なるべくトーンを高くして読んで下さい。
そうしないと、意味がありません。
ドビュッシーの「うすら明かり」と「月の光」は、ドビュッシー初期のヴェルレーヌの詩につけた作品です。
今日はフランス語の読みに徹しましたが、譜読みはきっちり出来ていて感心しました。
この曲は高音を張り上げる必要もないですし、今は無理せず、ファルセットで構わないと思います。
高音発声に慣れてきたら、少しずつ響きをどうつけて行くか、をトライして行きましょう。
AC
発声練習は高い方から下降形で降りるようにして始めました。
基本的に声の調子は良く響きも安定していました。
発声練習で気になったことは、喉を開けることと息を強く出すことが無意識で行われるために高音になるほど大きな声になります。
これは、微妙に息漏れが出るので、あまり良くないです。喉にも負担が大きい発声でしょう。
もっと声の響きの目の詰まった、密な響きを作ろうと思いました。
そのためには、声を出し過ぎない(息の力で歌わない)方法を取ることです。
IとかUなどの母音を使った発声練習は有効だと思いました。
これらの狭母音を使って、声を息で強く出すのではなく、響きをまとめたり密な響きを作る、というイメージを持って発声します。
曲はベッリーニのVaga luna,che inargentiから。
この曲で練習したことは、TKさんとまったく同じでした。
フレーズを歌う中で、音程が跳躍する時に、喉でそのまま押さないで、口を開けて喉を開くように対処することです。
喉を開くというほど難しく考えず、単に口を開けるだけで自然と喉を押さない発声になるでしょう。
ただ、声の響きが変わらないように注意は必要です。
それから、元々のフレーズの入りで、良いポジションで声が出せていることも、当然の条件になります。
悪い声を出していては、後から何を対処しても意味はないからです。
そして、高音域の声は喉を開けることと同時に、前述のように息で押さないようにすること。
丁寧に高音の発声を対処すること
同様にして、Vanne o rosa fortunataも練習しました。
母音Lululuを使って練習をし、特に高音に上がる時に口を開いて、喉で押さないように注意します。
鏡を見てやる方が良く判ることですが、発音に際して、下顎を動かし過ぎることで、上顎に集めるべき響きが、
落ちてしまいます。落ちるというのは、要するに息が漏れた声になることです。
なるべく息漏れをなくすことで、結果的に響きが密でまとまった響きになるわけです。
そのような状態になることで、息で押さないでも良く響く声になります。
要するに、良く閉じた声帯と、声帯の使い方、という2点があります。
前者は単に口を開けすぎないことと、息で押さないことが大切で、
後者は、響きを上顎に集める意識、ということにまとめられます。
最後に、日本歌曲から「初恋」を歌ってもらいました。
これを歌う頃には、今日の発声のテーマはすでに定着しつつあり、とても美しいメロディを奏でてくれたと思います。
あらためて母国語で歌う歌。声楽といえども歌は歌だな、と実感出来るものがありました。