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発声練習は、母音をIにして、低音から徐々に上げて行きました。
その次に、今度は下降形で母音を同じIにして、始めました。
また、その後に母音をAにして上向形で練習しましたが、これがとても良い声の傾向が出ていました。
喉が温まるに連れ、声量は小さいですが明快な声になってきたので、スタッカートの練習もしてみました。
これも、コンパクトながら、3点Fまで確実に出ていて、高音の喉の才能を感じさせるものでした。
コンコーネの50番から2番と3番を練習しました。
今日は階名唱法で主に練習をしました。
2番では、2度上昇の単純なフレーズの繰り返しなので、なるべく下顎を動かさないで、舌だけで子音処理することと、
下顎を動かさないことで、音程移動する響きを軟口蓋側に持って行くような発声の意識を教えました。
階名唱法の場合、いわば単語を歌う形になりますから、単に音程を取るだけではなく、外国語の子音処理や
子音と母音の関係性なども、練習の一つに捉える事が出来るメリットはあるでしょう。
その上で、母音だけの練習も合わせてやると、非常に密度の濃い練習が出来る素材の可能性も出て来ます。
3番は、音程跳躍時の処理、低音の発声処理のこと、総合的にはピッチの高さをどう捉えて発声するか?
そのための、ブレスの方法、といったところを教えました。
ブレスは無理がなく、問題を感じませんが、すこし無意識な傾向のため、ちょっとしたことで、ブレスが続かない面がありました。
ブレスは、そのタイミングをしっかり意識することと、横隔膜の動きを意識出来るようになってください。
無理に動かすのではなく、タイミングと共に自然に全周が少し拡がる感じが持てればOKです。
声のピッチが下がると、音程幅のあるフレーズ移動が、スムーズに出来ません。
彼女の場合は、まず低音発声で息漏れが多いです。これは無意識に低音を出そう、とするからです。
今回は口を開けた(母音発声の状態のままの開度)ハミングで練習をしました。
ピッチを高く合わせて出すことと、その状態で下顎を動かさずに、母音に変換することで、軟口蓋の上がった発声が上手く出来るでしょう。明るく前に響く声が出せれば成功です。
この発声を、出し易い、1点Aくらいで練習しておいて、その声のまま極力変えないで低音に移動して行きます。
そのままの声質で低音を出そうと努力して下さい。
この練習をしていると、低音の1点E以下のところで、声が地声傾向に変わりました。
しかし、そのままの声で上がって行くと、逆に綺麗に息漏れの無い芯のある中声域の声に変わりました。
これが今回の最大の収穫でした。
これ以上の理屈は私にも判りませんが、地声と思われる発声であっても、軟口蓋の使い方が上手く行くと、上の声とミックスして
上の声に上手く繋がるのではないかと思います。