YA
Lascia ch’io pianga
HendelのMessiaからHow beutiful are the feet of them
以上、2曲を練習しました。
前々回くらいから、声の裏返るのが早い音域で始まる傾向を、少しずつ矯正することに勤しんでいます。
裏返るから悪いというより、むしろ喉が上がってしまうことが、一番の課題です。
ただし、これを意識だけで直そうとしても無理です。
ブレスの方法と姿勢の強制の2点を徹底することだけです。
胸で吸わないこと。
喉奥から軟口蓋を開けること、いわば少しだけあくびした状態にすること。
そして姿勢は、顔が前に出ないこと。
この3点を徹底することだけです。
Lascia ch’io piangaは、大分良くなりました。
How beutiful are the feet of themは、譜読み途上という感じで、発声の状態を意識するまでに至っていません。
今後覚えて欲しいことは、歌う以前に発声を意識した譜読みから始めることです。
どうしても歌いたいものですが、譜面を細かい単位にくだいて、発声から譜面を読み解いていくことです。
全体に声を出し過ぎている、と感じます。ただ、この感覚はとても難しい微妙なものです。
響かせようと思うと、出し過ぎる、あるいは喉を上げないようにしようとすると、出し過ぎるという具合に、
結果を出そうとするあまりに、声を出し過ぎるのです。
声は常に、7割以上は絶対に出さない、というように決めてみてください。
少しだけ抑制するところから、発声のコツを覚えて行くと、先々、今度はその抑制から外れた時に、
思わぬ良い結果を招くことがあるのです。
抑制することそのものの効果ではなく、抑制を続けたことで、身体が覚えるある要素です。
それが、恐らく息の使い方なのではないでしょうか。
TK
Handelのアリアから、Brilla nell’almaそしてSe pensi amor
そしてUna voce
最後に中田喜直の6つの子供の歌から「うばぐるま」を練習しました。
ヘンデルのアリアは、彼女固有の声の傾向を勘案して、Se pensi amorを取り上げたいと思いました。
とても滑らかできれいな旋律の音楽を、良く表現出来る声になっています。
Brilla nell’almaは、テンポの早く乗りの良い曲ですが、逆に声の重さで重心が落ち着く音楽の要素のせいか、
どうも音楽としての落ち着きを出すのが難しそうでした。
Una voceは、声の調子が前回ほど良くなく、そのため集中した演奏にならずじまいでした。
調子が悪いとはいっても、正常範囲なので、まず調子に左右されない演奏のありかたや、
この音楽の演奏の一種のコツのようなところを、しっかりつかむ、ということを主眼にされてください。
確かに最高音は難しい音域ですが、そのことばかりにとらわれると、全体象がおざなりになってしまうでしょう。
最高音の声は完全に行かなくても、メリスマの歌い廻しのやり方だけは先に確立して下さい。
要するに昇りの速さ、降りるときのRitのかけかたなどなど。
メリスマをただ音符通り歌うだけでは、この曲の本来にはとても行き付けません。
この点だけしっかり抑えてから、高音発声のディテールへ、という順番を忘れないようにして下さい。
SMY
体験レッスンでした。
体もあるし、オペラ歌手として声のある方とお見受けしましたが、本人自身が自分の声の方向性が定まらないようでした。
声質は、どちらかというとメゾ的なイメージがあります。
少し暗めで中に入った声、と云う感じでしょうか。
しかし、発声をしてみると、かなりな高音まで出せる喉を持っています。
特に3点Cを超えると、無理がない抜けた明るい高音が出せています。
そういう喉を伸ばしていくのであれば、ソプラノの明るい中低音の声を伸ばす方向を練習されると良いと思いました。
ただ、Regnava nel silenzioは、良く歌いこんでいるだけに、歌い方、発声が固着化しており、声を触るのが難しい状態でした。
それで、簡単なベッリーニのVaga lunaで練習して見ました。
私の耳には、彼女が身に付けている中低音の発声よりも、同じエネルギーではるかに良く通る声であるし、また素朴に歌声として魅力的であると感じる面が出せていました。
歌声として魅力的、と云う意味は、歌っている本人が素敵に見える、と云う意味です。
彼女の場合、自身が好きな声が彼女に合っているとは言えない面があるのではないでしょうか?
私が考えたことは、姿勢は大切ですが、発声の意識として喉を逆に浅くさせることで、後ろを伸ばすような方向、要するに軟口蓋をもっと発達させる発声を練習する方向でした。
深い声というより、メタリックな切れの良い明るい声です。
中低音で発声を変えることで、パッサジョから上の声は自然に決まると思っています。
それだけのレベルを持っていますので、今後は中低音の声の開発に意識を向けられることが、大切ではないかと思いました。
MM
発声練習での状態は良い状態が続いていると思いました。
声の切り替えも、裏返るポイントも無難にこなしていますし、高音の声質も良く、伸びています。
発声の要点を簡潔にまとめれば、喉は低く、声は高く、となります。
音程の捉え方として常に旋律の音程の上側を狙うようにしますが、そのことで喉が上がってしまってはいけないわけです。
顎が上がらない、あるいは喉が上がらない姿勢、そしてブレスの準備を忘れないように。
ベッリーニのPer pieta bell’idol mioは、低音から高いポジションを取った歌声に集中して下さい。
そのことで、2点C前後の裏声化はほとんどなくなるでしょう。
アーンのCantiqueは、声の問題は平均的に良いと思います。あとはフランス語の単語の単位を明快に意識して歌えると、
歌がクリアになるでしょう。良く云えばレガートなのでしょうが、やや歌い過ぎというか、のっぺりとして歌詞を歌っている感じが
出て来ません。やはり歌詞を大切にした歌、というレベルを目指してほしいです。
プッチーニQuando me’nvoは、出だしの声はちょうどチェンジする境目で難しい所ですが、高いピッチを意識するべきでしょう。
この曲は恐らく、これですべて決まると思います。
全体にピッチが引く目になると、結果的に高音が喉で押す結果になります。
これは決してファルセットということではないです。
顎が出ない姿勢できちっと高いピッチで歌うと、良い頭声で歌えるでしょう。