OM

コンコーネ15番の6番からレッスンを始めました。
少し間が空いて、どうか?と思いましたが、以前にも増して中音域の声量が出ていて、驚かされました。
中低音の声の基本的な芯が出来てきた、と感じました。

結論から言えば、この喉を基本に、少し声の響きをまとめて行く方向に、これからは発声の課題をシフトして行くべきと思います。
EMさんも同じですが、胸声を開発することで、原初的な意味での発声器官が目覚める、開発されると考えるからです。
いわば、胸声は声のオリジナル、ということが言えるでしょう。

彼女の場合、地声も充分使いながら、自然にチェンジする1点Fから5度くらいの声域も、音程は気にせずに太くしっかり歌う方向を、自身で開発していたようでした。この開発は、ほぼ目的を達したと、私は思います。
今後は、この声を響きとしてもっと細く鋭くまとめて行くことで、音程の良いしかも良く通る声にして行くという方向を目指して下さい。

具体的には響きを鼻腔で共鳴させる様なイメージの声を作って行くことです。
軟口蓋の働きを更に活性化させ、響きを喉に落とさないよう、発音時に下顎の使い方に気を付けて下さい。

イタリア語の語感を勉強するために、モーツアルト「ドン・ジョヴァンニ」からドンナ・アンナのアリアのレシタティーヴォを練習しました。
ほとんどの場合、イタリア語のアクセントに音符上の強拍が入ってますので、そのことを良く把握して強調するように歌って下さい。
歌い過ぎると、強調出来ませんので、出来ない場合、やり難い場合は、歌い過ぎないで軽く言葉を語るようにすることです。
また、音符を歌う前に、リズム通りに朗読することも大切です。
レシタティーヴォは、ただ添えものではなく、レシタティーヴォが上手く出来れば、アリアも上手く歌える、大きな要素になります。

曲は、マノンの「街を歩けば」「甘い愛に誘う声に従いましょう」(ガヴォット)を練習しました。
レッスンしたことは、音符の読み方、発音のコツでした。
基本的に、必要のない所で歌い過ぎないこと。音符の形と発音の関係を良く知ることです。

フランス語は基本的にアクセントはないですが、歌や芝居の台詞では、わざとアクセントを付けることで、言葉が良く聞き取れるようになります。
その聞きとれるようになるための、アクセントを基に、マスネーは音符を付けているわけです。
例えば弱拍の16音符や32分音符は、短さではなく、強調するためと思って下さい。

このオペラでは、フランス語を語るように旋律が書かれていますから、語るように歌えることを目標にしてください。
そのためには、思い切って子音を強調出来るように練習してください。
特にRは、Reineと云う言葉の語頭であり、このRが効かないと意味不明になります。

それから、PとFの違いは明快にしてください。そのことも語り口を表現すること、演技を見せることに繋がります。
べったりと同じ声、それもフォルテで歌い通すことはくれぐれも避けて下さい。
マスネーのマノンは語り口が活かされているかどうか?が演奏のレベルを感じさせる要素ですから、言葉が不明になると価値が半減するくらいに考えて、訓練されて下さい。

最後にドニゼッティのIl sospiroを練習しました。
この曲でも、中低音の響きが実に良く出せている、と感じさせる声になっていました。
まず課題を良くクリアしてくれたと思います。

これからは冒頭に書いたように、メロディラインの声の響きに下幅が多すぎない芯のある声、を目指して下さい。
要するに同じ中低音の声でも、ただ芯がある太い声ではなく、響きを高く、密な声にすることです。

軟口蓋だけを意識したり、ピッチの高さだけを意識すると、声帯が開いてしまい、ファルセット混じりになりますので、
鼻腔共鳴というイメージ、考え方を導入します。
これについては、唇の使い方、響きの場所の感じ方、声の響きをどの方向に持って行くか?そのフレーズの歌い具合などを、
良く考えて練習して下さい。
最初から歌詞で歌わずに、LuやLiで、上唇を少し立てるように使って、声の響きを高く集めることから練習して下さい。

また、曲中での中低音のPPの声は、ただ弱くするのではなく、声の息漏れを極力少なくすること、そのために響きを高く集めることに
集中することです。