AY
発声練習は、母音IとAで声を温めるように行いました。
曲目は、讃美歌の「神ともにいまして」
テンポがかなり遅く、表現が暗くなっていましたので、テンポを速く4拍子ではなく2拍子の感じで歌ってもらいました。
教会関係では良く知られた曲ですが、それだけに音楽以前の印象を強く持つ人がいますので、その印象をくつがえすつもりで演奏する意図を持ってトライしてください。
QwilterのIt was a lover and his lass
ただ、きれいなメロディを歌うだけでなく、歌詞を良く発音して歌う点が良くなりました。
あとは、楽譜のダイナミックスとテンポの指示をもう一度よく見て、その表記に忠実に、あるいはそれらを聴いている人が判るように再現するように演奏してください。
RitからA tempoへという、流れが多いですが、この切り替えを素早く出来るようになってください。
すばしこさ、みたいなものです。
DawlandのFine knacks for ladies
これも、前回のレッスンから良く勉強されて、子音発音においても歌詞を語ることにおいても、努力の跡が見えました。
子音はSが良く出ますが、逆に出ない子音も目立ちます。特にFが出ないので、注意してみてください。
それから、語尾のSも大切にしてください。
語ることに夢中になると、歌自体が大声っぽくなりますので、この点も注意してください。
一所懸命歌うというより、ユーモアを以て、ということですから、クールな視点を持つと良いでしょう。
BachのBist du bei mir
音域が高いので、旋律をレガートに歌い廻すことに努力されてください。
特にメロディラインが上下する場合の音程跳躍で、高音側の声が突出しないように、滑らかに歌うことが表現上大切になると思います。
そのためには、口を開けすぎないポジションで、唇を上手く使って、母音発声する方法を模索されてください。
下唇が喉、上唇が軟口蓋になりますので、その両者で喉の響きの調節と、母音の開口の工夫をしてください。
AC
中音域のの発声で大切なことは、声を響かせる時に柔らかく扱うということです。
「響かせよう、出そう」という意識、イメージは大切にしてほしいのですが、その響きを自分で思っているよりも、少し柔らかくする、という意識を持つと、良い響きになるでしょう。
ブレス時に、いわゆる「あくび状態」を少し意識して、その状態から発声すると上手く出来るでしょう。
そして、高音になってきたら、そのあくび状態を更に強めてみると、締まらないで共鳴したような声になるポイントが見つかります。
アリア2曲を中心に練習をしました。
新曲になるトマの「ミニヨン」から「君よ知るや南の国」を通しました。
彼女にとっては、ソルフェージュ的に難しい部分はないですが、低音域で同音が続いて、喋るところがあります。
ここのリズムが、何か勘違いを誘う要素があったのでしょう。
何度かやり直しました。
6/8拍子は、8分音符基準なので、表記上の四分音符の長さを勘違いし易いので、注意が必要です。
この曲は美しいメロディですし、音域も高くないので、一見歌い易いですが、であればこそ、実は中音域の声の美しさが要求されてしまうメロディです。
それは、声のピッチや声質が要求される高さが、高いということです。
今回は、リズム読みで時間を使いましたので、次回以降、声質のことを徹底したいところです。
最後に練習した、山田耕筰の「野薔薇」は、発声を覚えるのに良い曲でした。
これも、基本的には今の彼女には少し高いのですが、この曲を練習することで覚えられる発声があるので、ぜひトライしたいところです。
それは、高めの音域であればこそ、息を強く出し過ぎないようにコントロールできることが課題です。
単に大きい声を出さないようにするのですが、そのコントロールのためには、喉が上がらない発声を覚えなければなりません。
そのために、フレーズの歌い出しの音の和音構成音の主音に声のポジションを決めてください。
主音が意識されると、歌い出しは和音内の第5音なので、ポジションが低められるでしょう。
別の言い方をすれば、音程を高く意識し過ぎないことです。
声は中低音ほどピッチが下がり易く、高音ほどピッチが高くなり易い本性を持っているので、その逆のことを意識すると上手く行くのです。
従って、5線の上の方は下げ気味に、5線の真ん中から下は上げ気味に意識する、というだけでも発声に良い影響が出る場合もあるでしょう。
あとは、音楽的にはテンポを重くしないで、歌詞をリズミカルに読むような歌い方も、喉に来にくいと思います。
べったりとレガートに歌い過ぎると、喉にきついです。
こんなに歌詞をはっきり言っちゃって良いの?というくらい、明快にはっきり歌うようにしてみてください。
多分、それでちょうど良いくらいの所に収まると思います。