HN

ベッリーニのMa rendi pur contento,そして Maliconia
この2曲で、音程の跳躍、特に中音域から5線の一番上辺りチェンジ近辺に対応するのが難しく練習を重ねました。
どうしても、下顎を前に出して力んでしまうようです。

口を開けない発声になるため、結果的に声を鼻腔に入れるようになることを狙ってますが、これがなかなか身に付かないようです。
そのため、声を抜くようにします。

顎をあまり下げない口をなるべく開けないで対処することを教えました。
なかなか難しいですが、割り箸をくわえて、くわえて割り箸を落とさないで、音程の合った声が出せるように練習してみることにしました。

そして、Ave Mariaを練習する中で、フレーズを歌いながら顎を引くように姿勢を変えて対処する方法を取りました。これが功を奏して、喉が上がらないで高音発声に対処するきっかけがつかめたようです。

例えば、Sancta mariaのMaからriに入るところは、Sanctaと歌いながら、顎を引くように姿勢を換えて、Maからriに跳躍します。
この時に、Maと開けた口を変えないでRiを発声することで、軟口蓋を意識して鼻腔発声を導き出すことも可能ですし、顎を引いた姿勢を取っていることで、喉が上がらない、という条件をそろえることも出来るわけです。

判ってみれば簡単なのですが、一番難しいことは、喉で発声してしまう母音発声を、いかに鼻腔(軟口蓋)で作るか?という命題一点に集約されるのです。

EM

シューマンのリーダークライスOp39から、123、そして7番を練習しました。
練習したことは、基本発声ではなく、歌詞の語り口とメロディの母音歌唱とのすり合わせのようなことでした。

基本的には、子音発音と母音発声の関係が希薄です。
Rの巻き舌が苦手ですが、これを避けずに徹底して発音してもらいました。
そのことで、他の子音発音もその意識が覚醒されるのではないか?と思います。

子音発音が弱いのは、子音発音そのものよりも、実は母音発声の対処が硬いということが遠因ではないでしょうか?
口の中の状態、舌の状態など、柔軟であれば、子音発音自体ももっと浮き出てくるように思います。
改めて、単に子音をしっかりしましょうではなく、子音の正しい発音が、発声に良い影響を与えることを実感しました。

今回は、語る調子と音符を歌うことのすり合わせが未完成な点を指摘しました。
一言でいえば、ドイツ語の文章を流れるように読むためには、単語のアクセントの位置を正しく知ることと、
そのアクセントの連なりを、流れるように読みとおすことです。

語りの方法については、前回は母音発声が目的だったため、歌うように高いトーンで読んでもらいました。
柔らかく高いトーンで読むことで、自然と喉が開く発声になることが目的でした。

今回は、母音発声よりも、語りの調子をつかむことが目的なので、出来れば普通の語りのトーンで読むことが大切です。
一番大切なことは、ドイツ語のアクセントの位置をつかむことです。
アクセントが判ったら、そのアクセントを意識して、すらすらと読めるようになって下さい。

FY

中高音の声は柔らかく明るい音程の良い声です。

ただ、2点Eから始まる高音へのチェンジで喉に力を入れない余計なことをしない発声のため、逆の意味で発声的に未対処であると思う声です。
それでも発声練習では綺麗にチェンジして安定しているので、2点Asまでは使えますが、2点Aから上は厳しいです。

Aamarilli
課題は、口の開け方です。
同じ発声でも、口の奥を拡げるように開けることで、共鳴がつくことで良く響きます。
例えば母音のAを発声するのでも、口の奥の空間を拡げるように発声することで、同じ声量で良く響く声になります。
この点を、発音と絡めて意識してもらいました。

あとは、単純に声の芯を付けるためには、声を出す際に少し重心を低く意識することです。
みぞおち辺りから声が出だすように、特に出だしのAmarilliの2点Dの声は意識して見て下さい。

後は、子音発音を大切にしてください。特に苦手なRの巻き舌は大切です。
今のうちに癖にしておかないと、なかなか身につかないです。
彼女の場合、英語のRに聞こえるところがあるので、なおのこと巻き舌にこだわってください。

あとはSの発音も弱い傾向です。Scritto E se ti等々...

低音発声が未開発のため、息漏れ気味の声になります。
ハミングから母音にする練習を積んで、息漏れの無い声を目指します。
単純に低音発声の際には、極力、声の響きを頭の中高く集めるようにしてください。
低音のAmarilliなどの声です。

Batti batti
こちらは、音域が高めであり、2点Fを前後する発声が未解決な点があります。
これは、喉が上がってしまった状態で歌うため、喉だけで歌う発声になっている点です。

これは、良く云えば喉に無駄な力を入れてないのですが、逆に言うと喉がぶらぶら状態のため、
結果的に高音を出そうとして喉で締めて出す結果になっています。

フレーズの入りで、なるべく喉奥を拡げて深い場所から声を出だすように意識して下さい。
音で云えば、2点Cから上の音で始まる場合は、特に低い深い場所を意識して下さい。
また、最高音が出て来るメリスマでは、ブレスポイントを確立することと、最高音は、無理に口を開けようとしないで
むしろ顎を良く引くように姿勢を構えておいて、唇を使うと良いかもしれません。
今日はやりませんでしたが、次回やってみましょう。