1月11日
SNT
発声練習では、彼女の傾向である開かない口を開けて歌うことを指示した。
顎関節が固いようで、これは痛くない範囲で開ける癖をつけた方が良いだろう。
4点Fくらいからすでに換声するのは構わないのだが、それにしても喉がゆるゆるな感じである。
母音のIで練習するとその点は問題ないので、A母音固有の傾向だと思う。
A母音ほど、軟口蓋を意識して喉頭を引き上げる意識を持った方が、結果的に喉は上がらないで安定すると思う。
パノフカの1番。前回に引き続いたが、今回は16分音符のメリスマがとても正確に良い声質で歌えていたし、全体にリズム感の良い歌になっていた。
ドナウディのVaghissima sembianzaを練習した。
低音発声で息を漏らさないことと、高音発声で喉を良く開けることが課題。
1月12日
TR
体験レッスン。大学生。
運動部系で声を良く出す系列の為かそのジャンルのせいによるのか、自己アピールが明快な方。
そのためか?歌声も良く出て高音まで良く出る素質のある方だった。
ただ中低音発声が息が太すぎて声が荒いし、ハスキーボイスが目立つため、中低音発声を中心に発声を見た。
喉を開けるのではなく、声を高く集めるようにして出す、という方法。
母音をIで練習したり、ハミングの練習、ハミングから母音に変換というような練習を30分以上かけて行った。
中低音発声を修正すれば、かなり短期間で良い声で声楽を楽しめるようになると思う。
ST
ヘンデルのオペラ「セルセ」アトランタのアリア「優美なしぐさ」
技巧を表現するのではなく、リズムの面白さと優雅さを表現する小さなアリア。
言葉の発語の切れ口をひたすら良くすることが、この曲の表現力を増す最大の方法。
Qui la voce特に後半の高音フレーズに連続して出てくる、半音階下降形のフレーズの練習にこだわった。
半音階の特に下降形は、音程が狂いやすい。
下向と言っても、実際は上に登っていくイメージで声を出さないと、正しい音程感が出せない。
それと6点Cの高音は、喉で当てようとしても無理だろう。
息を吐きだすことと、結果として頭部で声になるという意識を持つ方が、彼女の現状の発声には適しているし、実際その方が上手く行くようである。
ファルセットが強く出るタイプは、逆に喉を意識した方が上手く行く場合もあるかもしれない。