MMH

高音発声に慣れてきた印象が残る。

発声練習では、下降形で昇ると換声点の対処が自然にできるのは、換声点の喉の緊張が自然に生じるからだろう。
従って、上行形の場合はその喉の良い意味の緊張を上りながら対処する、ということ。
特に5点Dを超えるあたりから意識するように。

また最高音域に入る5点Aくらいから上は、口を上下に開ける意識を持つと、息が吐きやすくなり開放的な高音が出しやすい。
特に軟口蓋をよく使うこと、また使う分だけ喉を開ける意識も持つこと。
このために、口を上下に良く開ける意識が必要になる。

高音発声にまだ慣れていないので、喉の状態にどういう違いがあるのか?が感覚的に判るようになると、声のコントロールが出来るようになるだろう。
今はただ喉を締めないで発声できることが大事、と考えておくと良いだろう。

コンコーネ26番と27番、いずれも良く譜読みが出来て丁寧に歌えていた。
課題は中低音域の声質と音程感について。
ピッチが悪いわけではないが、暗い声で声量が小さめのた、センシティヴなイメージになる。
そこで、ハミングから母音に替える練習をして、軟口蓋をしっかり使う意識での発声を心掛けてもらった。
これだけで、自然に声量が増して明るい声になった。

音程感というのは、音を取ることは間違っていないがピッチが微妙にずれることについて。
調性感もあるだろうし、発声の問題もあるだろう。
発声としては、確かに5線の真ん中の4点b~5点Cは小換声点で声が切り替わる現象が起きるのでピッチがずれやすいこともある。

調性感としては彼女は固定ドがかなり身についているそうなので、移動ドによる階名唱法での練習を勧めてみた。

曲はベッリーニのL’abbandono
最初中声用で歌ってもらったが、どうも声が低いのがしっくり来ないので、オリジナルキーでやってみたら大成功だった。
中声用でも、メゾらしいというかリリックなイメージが十分伝わる声の資質が発揮されているが、オリジナルだと高音が5線を超えるせいもあり
よりドラマティックになる。
何より換声点を交差するフレーズが多いので、声の勉強にうってつけだと思う。

KT

発声練習では、腹から出す野太い声が良く出ていた。
しかし前回のレッスンで感じた高音発声の資質を想うと、これを伸ばしてテノールを目指す方彼の本来の音楽性が発揮できるのでは?と思った。
このため発声は徹底して方向転換した。

まず声量を抑制すること、そして声の響きを上あごから上だけに意識すること。
平たく言えば、彼の場合は腹から声を出さないで、口先で出そうとする感じが良い位と思って良いだろう。

コンコーネは11番。
ここでは発声練習でおこなった声の改革に挑戦した。
思ったより声の強弱が使えていたが、気を付けるべきは弱声の際に息漏れのある声でやらないこと。
あくまで声の密度を保たまま小さくすること。
そのためには、呼気の強度を抑制するため、腹回りの筋力が必要になるはずである。

歌はイタリア古典歌曲のStar vicinoから。
こちらも弱声が使えて綺麗に歌えていた。
更に大事なこととして、フレーズを平らかに歌うことで、音楽の良い緊張感を表現すること。
言葉の凹凸や音程の凹凸を恣意的に歌声に表さないように。

Sento nel core
こちらは初出で課題がいくつか出てきた。
声そのものよりも、リズムの正確さとイタリア語を音符に乗せる際の原則を守ること。
イタリア語はシラブルを判別し、音符にはシラブルだけを載せること。
子音は音符外であり、当然子音に音はつかない。
日本語が子音と母音の判別が難しいので、日本語のカタカナでイタリア語を読んでしまわないよう気を付けることである。