SKMM

発声練習の4点Aからの下降形で始まった声がとても良かった。
胸声と頭声の混ざり具合が、偶然の一致で良かったのである。
しかし偶然とはいえ、以前に比べるとはるかに声として出来上がってきたという証拠でもある。
それは胸声の悪い出し方がすっかりなくなった、という理由に依るからである。

以前は、この癖の強い地声を避けるために、ファルセットを使って練習しながらハミングの練習という繰り返しを数年続けたと思う。
これが、ようやく成果を現わしてきたということであろう。

コンコーネの30番。概ね間違いない譜読みの結果であった。
ただ声が小さく響かないため、最初は子音のアタックを強くという指示をしたが、口を開けない歌いかたなので口を開けた発声を指示した。
しかし、予想で来ていたことだが、やはり口を大きく開けると、中低音域の地声傾向が強くなり音程が悪くなる。
そのため口を開けたハミングを練習した。

口を開けたハミングの練習で大事なことは、最初に開けておくことと、開けた口を途中で閉じないように発音すること。
そのために、下あごではなく舌を良く動かすことである。
特に高音に跳躍する時に、彼女はファルセットに無意識にしたいために口と閉じようとするが、それを閉じないで顎を固定し舌をしっかり動かすという具合である。

曲は「椰子の実」
ウ母音、イ母音は口を開けられないが、放っておくと喉が上がる発声になる。
そのため、これらのいわゆる狭母音は唇を突き出すように発音することで、喉を上げずに発声出来、声が中低音から高音までしっかり響く歌声になること。
結論として、この喉が上がらないという感覚を歌いながらどのようにして保つか?という命題に尽きる。
これが判れば、口を開けるか開けないか?ということも自ずと解るようになるだろう。
そして、そのことが良い声につながるということである。