一通りの発声練習は、低音のミックスがとても良く決まっていて、レッスンを重ねて来た彼女の経験の賜物と感じ入った。
高音への換声点通過は、ほどほどにチェンジされており、レッジェロで合唱も歌うのであれば、良いバランスではないか?
最高音は5点bまでに止めたが、この範囲内であれば安定した発声が出来ていると思われる。

パノフカは17番の復習から。
前回より進歩の跡が感じられたが、一点低音域のトリルはほとんど音程が良く解らないで滑った感じであった。
これは軟口蓋をしっかり上げて息で回すようにしないと、音程感のある声にならないだろう。
ミックスを意識し過ぎると、かえって胸声成分が強くなって音程感がなくなるのである。

18番は、前回も感じたことだが、トリルが続かないせいか柔軟に歌えている。
跳躍が大きいフレーズは、ブレスがあってもなくても、腹筋を使って声を当てる場所を低く変えてやることで、
息漏れが出ずに、結果的に素早やく目的の音程を響かせることが出来るであろう。
チェンジしてしまうと、息漏れが出るためにアタックが遅れたり、予期せずにずり上がったりするのである。

フォーレのレクイエムからPie Jesu
伴奏が全音符は、4拍数えてからブレスで出る方が良い。
リズムを合わそうとすると、声の入りが早すぎる感じがして、音楽のリズム感に違和感が出る。
また、全体にIn tempo感がもう一つで、ゆらぎが気になった。In tempoを大事に。

ピアノもPPの弱音やDolceを充分意識してほしい。
歌は、テンポが良くなったので、後はDolceの表現には注意を払ってほしい。
気持ちを弱く言うところ、強く言うところの違いは、音楽で表現されているから、その違いは判ると思う。
つまり強弱の違いを感情の違いと理解して歌ってほしい。

フォーレの「蝶と花」
言われたとおりに歌詞を明快にするため、音符をぼつぼつと切るように歌っていたが、前回のレッスンでそれは中止したと思う。
歌詞をレガートで歌うのはまだ難しいようなので、単母音で歌う練習をした。
母音で徹底してレガートに歌えることと、歌詞をすらすらを朗読できること。
この2点を徹底練習して、最終的に歌詞で滑らかに歌えるように。

伴奏は、前奏は右手のメロディで音楽を作ること。左手の3拍子は右手のメロディに合わせるだけで良い。
歌になったらIn tempoが大切である。

ベッリーニ「夢遊病の女」アリア「ああ、信じられない」
レチタティーヴォは朗々と歌えているが、ややのんびりした感じで、感情のメリハリが弱い。
もう少し素早く発音すべきところ、ゆっくりする所の違い、感情的なメリハリを出すように。
アリアの表現は基本的に良いが、カデンツは、これも感情の起伏を強く出すべきではないだろうか?
声はもっと張って良いし、上行形は素早く昇ることも良いだろう。