TH
しばらくお休みしていたので、復活ということで発声を楽に出来るように留意した。
彼女の声は頭声で軽く始まり、中高音から換声点を抜ける辺りで声が当たって来る。
その辺りを楽に流して、5点A~くらいまでで終わらせた。
低音を特化した練習はしなかった。
イタリア古典からIl mio ben quando verra
2回繰り返して通したが、特に指摘することはなかった。
調子が出れば自然に軽い声も出せるだろう。
まだ換声点から声を張る傾向が強かったが、特に気になるほどではなかったので。
次にマスカーニのAve Maria
大変良く歌えていたと思う。欲を言えば高音域のメッザヴォーチェがより洗練されていれば理想的である。
チマーラの「愛の神よ、ようこそ」
チマーラらしい、イタリアカンツォーネ的な甘いメロディである。
だが伴奏和音が近代的な複雑なものなので、案外とメロディの音程感と伴奏の結びつきが強いため、伴奏の責任が大きい作品であると思った。
これも、特に歌声について指摘することはなかった。
音程の良い声で伸び伸びと歌えていた。
最後にバッハ―グノーのAve Maria
ソプラノ用のキーであったが、高音の声の張り具合を聞くと、緊張が強いようなので、すこし低いキーでしばらく練習してみることを提案した。
SMZ
伴奏弾き語りのレッスン。
書くのが遅れたので覚えている点を列挙しておく。
L’amour est bleu
声が可愛いと感じた。
詩の内容はシリアスなものなので、もっと自然に彼女の成熟した大人の声で、と提案した。
昔のフランスのアイドル的には歌う必要はないと思う。
作品とストレートに向き合うべきだろう。
C’est si bon
タイトルの言葉がこの曲の中ではもっとも重要な意味を持つと思った。
それほどにこの歌詞を歌っている女性の恋人への愛が強いのである。
その点を、もっと自分のこととして歌に想いを込めてほしい。
L’etang
コード進行がアントニオ・カルロス・ジョビンを思い出させる、素敵な曲である。
ジョビン自身がドビュッシーに大きな影響を受けていることで、フランスとボサノヴァは強い縁がある。
音楽がしっかりした良いものなので、オリジナルの歌を真似しないで、シッカリ歌って良いと思う。
FrileuxのLをJにしないように。
epanouiesのOUの発音はyではなくUである。
オリジナルの歌手がYのように歌っているが、単なる癖というかなまりというか。。
日本人はその辺りしっかり勉強した方が良い。
L’homme et l’enfant
ほとんど良く歌えていると思うが、子供歌声を子供っぽくし過ぎてLa terre est rondのTerreのEをeのようにするのがおかしいと指摘した。
子どもの声で良いが、発音は正しく、である。
マペル
日本人のオリジナル作品だが、とてもフランス的なアンニュイな雰囲気が良い作品である。
ただ日本語の歌詞なので、歌詞の意味を聴こうとしてしまう。
演奏者の歌詞と音楽への理解の深さは必要であろう。
何となく雰囲気だけで歌わずに、自身のイメージをしっかり深めてほしいと思った。
ティーンズ・ブルース
私は微かに記憶にあるが、原田真二の弾き語りである。
彼女の好みがこの曲には確かにあると思った。
アメリカよりもフレンチポップす的な雰囲気のあるメロディがある。
オリジナルの歌手が歌えば自然だが、彼女が歌う場合はもっとこの歌詞の切羽詰まった気持ちをストレートに出すべきということを提案した。
結局、演奏というのは自分が気持ちよくなるだけではなく、作品の真意を外に向って表現すべきという基本があるのだと思う。