TNT

発声練習

中音域の声で換声が行われて良い共鳴のある響きが出来ていた。
口を開けない感覚で調整をしているが、それだけだと響きが今一つ拡がらない。
この共鳴する感覚を壊さないように口を開けることをなるべく覚えてほしい。
そのための顔の姿勢であったり、上顎の上げ具合や唇の使い方など調整してみること。
高音の換声もこの感覚を更に推し進めれば、自ずと4点F#以上の声も楽に使えるようになるだろう。

コンコーネ OP9より36番

A母音で歌うのだが、最初の通しは声がこもり気味であいまい母音のように感じた。
明解なA母音というイメージを大切に。
確かに声質の維持としてあいまいな歌い方が役立つ部分はある。
喉のポジションという観点であれば、顔の姿勢の持ち方や不動で歌うことがポジションを見つけるのに役立つだろう。
つまり最初は苦しくても、その苦しい状態で実は良いポジションが見つかるという場合がままあるからである。

シューベルト「野ばら」

コンコーネでのA母音の練習の効果があり、音程感の良い明るい声になった。
しかし今度はI母音が平たすぎる傾向になった。
この辺りのさじ加減は難しいのだが、もともと声楽の場合の欧米流I母音の響きは深いものであること。
日本人の場合は、喉が浅い平たい声になりやすいので、口を丸く使うことで喉が奥に入ってちょうど良い。
気を付けるのは、音程感が不明瞭になることで、これは鼻腔を意識することで解決するだろう。

シューベルト「菩提樹」

こちらは基本的に声域が低いので、低音域の響きとピッチの正確さが課題である。
細かい発声の前に、基本的に歌詞の朗読を響くトーンで語る練習を行った。
この練習で声量はかさ上げされて、歌詞が明瞭になった。
だが低音域のピッチが不明瞭なので、喉を上げないように注意しつつ鼻腔に響きを入れることを指示した。
特に気を付けるのは、下降形のフレーズである。

武満徹「歌うだけ」

これまではテンションを上げてとにかくがっつり歌うことだけを目的にしてきた。
ただ、今日の新たな声質の良さを活かして丁寧に声楽的に歌うことが良いだろうと思い練習した。
ピアノ伴奏も抑え気味にして行うと、これはこれで良い表現だと思われた。