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発声練習
低音から換声点まできれいに当たった声の響きが気持ちよい。
特に4点E~3点bにかけて、声の裏返りがなく滑らかに当たった声が出せていた点が進歩であった。
高音は5点Aまでだが特徴的に換声のイメージがあまりない歌声である。
この点は、細く弱声の高音発声を難しくする理由になるだろう。
イタリア古典歌曲集より Se tu della mia morte
美しいバロック的なアリアである。
やはり古典的なベルカントによるレガート唱法が相応しいと思えた。
そのためには、口の開け閉めによる母音の変化はなるべく避けたい。
口を少し突き出すようにして丸く狭い口の開け方のまま、歌詞を歌い通してもらった。
見ているとEやIで口を横開きにする癖があるので、これを丸く扱えるように習熟すると良い。
唇は少し突き出すようにして、唇と舌の微細な動きで発音を担う形になる。
ドニゼッティ「ルクレツィア・ボルジア」より「あの魔法使いの何と美しいこと」
これも古典的なベルカント唱法が相応しい。
この時代の様式を表現するような声質と歌唱スタイルである。
歌唱スタイルは徹底したレガートを基本とする。
そのためには、喉で押した声ではなく、息をよく使った共鳴感のある声を大事にすることである。
そのことが実感されることで、自ずと口の使い方(開け方)に無駄がなくなるはずなのである。
また発音に寄与する唇や舌の動きも発声が影響するのではないだろうか?