アトリエムジカC2003年11月30日 |
きくちさん フォーレの歌曲から"Chanson d'amour""Serenade""Notre amour"そして、"Rossignols amoureux repondez a nos voix" 素晴らしいビロードかシルクか滑々とした上質の衣装か布地を手の汚れで汚さないように丁寧に触わらせてもらった時のような、クールだが手の先にいつまでも残る感触、と言った、美しい声を聴く喜びを久しぶりに味合わせてもらった気がした。 それだけに、フォーレの特に"Notre amour"は、もっとその素敵な手触りを味合せてもらいたかった、という不満が残る演奏だったといえば本人には分かってもらえるだろうか? 言葉は、良く咀嚼されていて、努力の跡が伺えたが。 ただ、レッスン時に見られた、気負いや力みがすっかり消えて、明るく楽し気に見える演奏マナーも軽やかで素敵だった。まったく安心して落ち着いて楽しめたのは、さすがである! それでもあえて、偉そうに注文をつけさせてもらうならば、高音域の響きにもう一歩の輝きを添えてほしい事。ブレスの長さ。 それ以外の音域でも、もう一歩の線のレガートがほしい事である。 もっと広いところで聴くとまた違うかもしれない。 旋律線がやや抜けて感じてしまう点がある。 もう少しみっちりと、その美しい手触りを万遍なく惜しげもなく見せてほしいのである。 ともあれ、素晴らしい素材、素質。これからの活躍を期待している!オメデトウ! |