しかし本当に良い声をしてますね。確かに高音域はまだ未完成ですが、もう少しでしょう。
焦らないで少しずつ身に着けて行ってほしいです。
また、高音域も良い声は出ているのですが、ブレスのちょっとしたタイミングなどで喉が逃げてしまうのですね。
そうはいっても、夏前のことを思い出してください。
あの頃はひ~ひ~だった音域を難なく出せているではないですか?
声を当てるタイミングと喉の動かないタイミングが上手く合うと、当たるのです。
そのための姿勢や、肝心な瞬間に動かないこと、口の動かし方などなど、総合的なことなので今ままで教えたことをもう一度復習して、見直してみてください。
とはいっても、もう明後日が本番なので、本番は細かいことは忘れて、ただひたすら良い集中を作りましょう。
本番には良い気持ちで臨みましょう。
今日は「愛の喜び」をもう一度テンポの見直しと、ピアニストへの指示で音楽を再構成しました。
ブレスが厳しいということで、テンポアップしたのですが、どうしてもせからしい音楽で落ち着かないのです。
ゆったりした始まりはあるけども、進むに連れて音楽の流れが速まっていくこととか、間奏の弾き方とリタルダンドの出し方など、変化を良く付けて歌手の技術を補ってより彫りの深い音楽を演出することも、伴奏の妙であり技術だと思います。
歌手が未熟だからといって、未熟に合わせるのではなく音楽全体を高く見せておいて歌手の未熟さを補う音楽的な処理でしょう。
そうやって、当たり前に弾いている部分をもう一度見直して欲しかった。
早めたら緩める、緩めたら早める、という融通無碍なフレージングやテンポの緩急を目立たない所で、上手く出すのです。
歌手の方は、ともかくブレスが足りなくなるフレーズの直前はブレスを入れましょう。
終わりというのは、とても大切なのです。
尻切れトンボという言葉がありますが、途中が切れても尻切れトンボはいけない、と思うのです。
さて、トスティの「アヴェマリア」とてもとても良くなりました。
こちらも、2点C#辺りの声が少し抜け気味になりますが、声を頬骨から前に通すように喉が上がらないように気をつけてください。
何度も言うように、下顎でアーティキュレーションしてしまうことで、響きが逃げてしまいますので。
特にアの母音です。
後は、良いです。テンポも落ち着いたし、声は言うことはありません。
ロッシーニが恐らく一番難しいでしょう。
とはいっても、彼女の今のレベルからすれば、概ね危なげなく歌えているのですが彼女にしては高音の響きが今ひとつ定まらないのでしょう。
こちらも、口をべちゃっと開きすぎてしまうために、逆に喉が動いてしまって、音程は合っているけども響きの出ない声になってしまいます。
Possoのオの母音で口を開きすぎないこと、響きを前によりも、後頭部に吸い込むようなタイミングで
出してみてください。それから、ここは、本の少し早めに処理することで余裕も生まれるでしょう。
高音に上がる一つ前の響きを前に出すことで、その反動を利用して上に上がるということもあるでしょう。
最後の16分音符をぶつけるようにして始まる方のNemmen per gioco v’ingannero
1回目はフォルテです。ぶつけるのは脳天で、しっかりぶつけてください。
その前のフレーズを切った瞬間にお腹を良く緩めることで、勢いのタイミングが計れるでしょう。
23日のホールは良く響きますから、多分気持ちよく歌えると思います。
のうじょうさん
今日は一回合わせただけで、終わりにしました。
前回まで懸案だった、ピアノとのアンサンブルもようやく合格点が付けられました。
難しいドビュッシーの歌曲のアンサンブルでしたが、ようやく有機的な流れと大河のような大きな音楽の輪郭が出来上がったと思います。
ドビュッシーの歌曲の大きな音楽の世界が、良く表出されました。
「噴水」の芳しい幸福感と「夕べ」の宗教的でありながら庶民の悲哀がこもったコーダは美しかった。
ロメオとジュリエットのアリアのエンターテインメントもオペラらしく決まるようになりました。
特に出だしの、笑い声の下降形は実に見事!
特に高音の2点bが最高の声質で当てられましたし、全体のワルツのテンポ感も弾む重さが出ていました。
最後の3点Cもしっかり、長く、決められましたね。
欲を言えば、「噴水」のRefrain句、La gerbe d’eau qui berce ses milles fleursの2回目が、ややゆったりしたために、続く後半がそのまま緩んでしまった印象が惜しかった。
多分彼女はその方が、気持ちが乗って歌いやすいのだと思うけど、
全体の緊張感のバランスがやや悪くなる、ということでしょう。
「夕べ」も懸案の3連符の処理もまだ完全ではなかったので、気をつけてほしいです。
ただ、正直に良くここまで勉強してくれて伴奏もアンサンブルを勉強してくれた、と思います。
明日は心置きなく思い切り歌ってください。楽しみにしています。