今日は時間がなかったので、ともかく歌うだけ歌ってもらった。
後は、本番で気持ち良く集中できれば言うことはない。
そして、集中するためには、ともかくしっかり明るく前に声を出すことである。

出だしで怖がらずに、言葉をはっきり聞かせてあげる意識を持てば大丈夫。
プーランクは「アンドレのご夫人」が少し高めから入るけど、これも
しっかり出した方が良いだろう。
ヴィオロンはとても良い。終わってから次の曲へは、やはり慣れがないので
音をもらってから歌って欲しい。
「花」は、これも出だしをはっきりと高く良く響かせてほしい。
急がなくても良い。

プレヴェール「寓話」は、これこそはっきり大きくである。
特に出だしで、絶対に気をつけて欲しい。
重くなった分、遅くなっても構わない。ただ、調子が出たら徐々にテンポを戻すように。日本語というのは、最後に動詞がくるからフレーズの最後で、その大事な動詞をきちんと歌えるように。
最後の「中途半端は~」もしっかりはっきり。

シャンソンは、これも出だし!
フランス語日本語共に、出だしは「てやんで~ちきしょうめ~」くらい言葉を飛ばして欲しい。

暗譜はもう安心な状態なので、後は気持ちだ。気持ちよくコンサートに臨める様に。

はやしださん

今日は今までで最高の出来だった。
彼のシューベルトはとても良い。
男らしくて純情。

冬の旅1曲目「おやすみ」は、テンポも決まり声も乗って、イメージが良く集中力が良い。
彼も出だしだけど、思っているよりも2割くらいは声を出す意識を持った方が良い。
最後のリタルダンドは声を落とさないできちんと出すことと、2倍くらいゆっくりを意識した方がちゃんと聞こえる。

水車小屋の1曲目「さすらい」は、これもテンポ設定の妙で、実に面白い歌になった。
リズミカルで、乗りが良い。感じが良く出ている。
ドイツ語の発音もとても良くなった。声も乗っている。

「君こそ憩い」は、出だしで、これも声をあまり抑えないこと。特にフレーズの後半で抜け気味になると、ちょっと不安定に聞こえる。フレーズの後半こそしっかり出そう。
後半の高音。前回指摘した所は、良く練習して、音程も良くはまってとても良かったがちょっと気を抜くと、というか、出しすぎると口を縦に開けることで音程がはまらなくなる。
声量よりも音程である。勢いは必要だが。

最後のフレーズの終わりの子音の処理だが、次の小節線を越えたところで処理した方が音楽的だ。
語末の子音終止のポイントはかなり気をつけて!

唇、頬の使い方が一番上手い。よく出来るようになった。
ただ、喉の保持がまだ弱くてそのために、声が抜けてしまうことがしばしばある。
姿勢、顎が前に出ることには充分注意して欲しい。
そうすることで、今度は声が前に当たってくるようになると思う。

本番は、思い切り良く愉しく歌ってほしい。

いそがいさん

彼女も、今日が最高の出来だった。
1曲目は、これも声をはっきりと出すことさえ上手く行けば、言うことがない。
伴奏は、前奏はしっかり明るく出しておいて、歌になったら、少し落として欲しい。
2曲目はブレスを怖がらないで、守れば良い集中が生まれるだろう。
後は今の時点では最高の出来なので言うことがない。

3曲目は、言葉のリズムと音楽のリズムの関係が不確かな所が未だ残るのが惜しい。
言葉をリズムで読む練習は最後まで怠らないでほしい。
そうすれば、完璧だろう。

リズムもテンポも良い。
伴奏の右手のアルペジオも綺麗。
アルペジオのリズムと歌のリズムが綾なせば完璧なワルツになって、素敵なのだ。
最後のページの2つぶりは、何度も言うが早くしないで重く感じること。

譜面台を低めにして、顔を良く見せること。覚えているところはなるべく顔を上げて顔を動かさないで、視線で譜面を見ると良いだろう。
後は、ページをめくるタイミングを大切に。また、音楽の調子とページをめくる調子を合わせて。ガサガサっと音楽を壊さないように。
歌い終わったら視線は上げておこう。

シューマンの非常に素晴らしい品格のある曲を、良い声で聴ける楽しみを持っているから今回こそ演奏の意味は大きい。
期待している。