前回のレッスンで方向転換をして、2週間。
まったく違う2曲を持ってきた。
アリアは、椿姫から「プロヴァンスの海と陸」
トスティの「4月」

前者は声が軽い傾向。
後者はどうも喉で歌ってしまい、肝心要の所で沈没してしまう。
これは、どうも困ったものだ。

それでも椿姫は、どうにかなるだろう。
恐らく、慣れないバリトンのアリアで重い声を要求しすぎたようである。
そのため、トスティの中高音がもろに喉声になり、肝心のところで声が沈没ということになったのだろう、と考えている。

アリアの方は、バリトンなので彼の声の場合、口を閉じないで縦に良く開けてアーティキュレーションしたほうが良いと思う。
トスティは、ともかく喉で出ないように、高く軽く響かせるべきである。
切り替えはある程度必要だろう。

という意味でも、トスティで始めた方が良いということになる。
軽いといっても大らかに朗々と伸び伸びと歌って欲しい。

はなむらさん

声を出すことから、大分力みが消えて良くなった。
中低音はその分声量が一見ないみたいだが、そうではない。
響かせ方さえ間違わなければ、綺麗に当って品良く綺麗な中低音で歌えるまでになってきた。

意外と低音とのチェンジの滑らかさがあるのは、FantomのMy true loveを聞かせてもらって感じたこと。
この曲、長い伸ばしがあるが、良く声が持っている。
声が持つのは発声がちゃんとしてきた証拠。

逆にThink of meは、どうも何を歌っているのか分からない。
それは、英語だからという意味ではなく、英語のせいで発声があやふやになっている、と言えるだろう。
この曲、テンポが速いし、慣れない英語だから、もっとゆっくり練習して、押さない声で当るポイントを
まずつかむべきだろう。
その上で、少しずつテンポを上げて行って最終的に指示のテンポにしてほしい。
最後のカデンツは思い切り良く、元気良く行ってほしい。

今日は最初にバッハのBist du bei mirを。
綺麗な曲で、彼女も押さない声で綺麗に歌えていた。
高音が少し締まってしまうが致し方ないだろう。
口の使い方に注意すれば、喉の締まりも軽減されると思う。
口を横に引かないで、唇を良く使って、前に突き出すような感じが良い。

たかはしさともこさん

今日は非常に元気の良い綺麗な声で、絶好調であった。
発声も中高音域でピークが出るようなので、意識してピークを抑えて、高い方に行くほどクレッシェンドしてみた。
多少高音の力強さは出るが、やはり2点bがその限界である。
それ以上は、喉を開けようとするよりも、思い切って喉で切るくらいに意識した方が出るようになるのではないかな。
後は、その音域を使う曲を歌う、歌いたい、という思いだろう。

パーセルのMusic for a while
最初の出だしのMusicのUの母音が喉側が強く降りてしまうので、もう少し高く響かせたいところ。
後は、非常に綺麗に歌えていて、文句を言う所がほとんどない。
声に不要なビブラートがなく、響きも彼女の声にピッタリの音域である。

それはさておき、ドニゼッティの「久遠の愛と誠」
全体に良く歌えているが、出だしから1ページは中高音をもっと綺麗に滑らかに丁寧に歌うと更に素晴らしい。
フォルテの高音は最後のページGiuro!くらいだ。
後は楽譜のピアノの指示を良く見て、その効果をもう一度確認して欲しい。
音楽的にPとなっている意味を音楽的に感じ取ることで、自然に声がそうなる、と思って勉強して欲しい。
書いてあるからするのではなく。

さて、ラモーのアリアVole zephyreは、前回に比べ格段に良くなった。
修飾音符とトレモロに慣れてほしい。

たかはしみかさん

今日は、前回とあまり変化なく、前回得た結果を出すのに苦労をした。
苦労したことは2点あり、高音のチェンジ以降で喉が締まってしまうこと。
予想外に声のチェンジの問題があることだった。

後者から行くと、イヤエなどの当りやすい母音でチェンジ直前2点D辺りの音域でひび割れを起こしやすい。
彼女がどうも2点Fから上が急激に喉が締まり、響きがなくなることと、このチェンジの問題が関係あるだろう。

要するに重い声を作ってしまった以上、高音も重くしなければ繋がりが悪くなるという状態。
その状態を半ばでこちらに来たと思えば良いのだろう。

しかし、それならそれで声のアタックがもう少し太く開いたものであるはずなのに、
それはまったく逆で細く高く当てる癖が身に着いている。
そのため、どの音域でもどうしても締まる傾向が強くて、これも苦労である。

これは時間がかかりそうだけど、2点F以上の声を直して、それに合わせた軽い中低音にして行った方が良さそうである。
というか早道だろう。

ただ、音域の上限がどのくらいか、見極めるのもとても難しい。
前回のメゾソプラノ傾向であれば、2点F以上ももう少し太く開いた発声をやりたい。
そうしないと、今の中低音に繋がる声にするのが難しい、という印象。

今日はLotosblumeとAh mio corを再度。
両方とも全体的には綺麗に歌えているが、Ah mio corは、イの母音で割れてしまう箇所で苦労した。
これなど、一度全部声の使い方をやり直さないと難しいだろう。
上手く逃げるか全部やり直すか、この辺りの判断も難しい。
次回のレッスンで結論付けしたい。