7月の発表会以来だろうか。
発声練習の声はますます滑らかで高音も良く出るようになっている。
今日は3点Cまで昇ったが、以前に比べても高音が伸びているのは確かだと思った。

ただ中音域は、これも以前から気になる、声の奥まりというのか、こもっているというのかが、どうも気になる。
舌を出して脱力してレレレレとか単にエの母音でも練習してみた。
以前にも舌根の力みかと思ったが、表面的には喉を下げる力はそれほど働いていなかった。
軟口蓋を上げようという力が強く働いているという気もするし、嚥下のどこかで喉を下げる方向で声を出している気もする。
見えないので本当のことは分からないが、どこか独特の力で発声を作っている気がする。

これは単に声の趣味の問題ではなくて、結構な声を出していても響きが中にこもって、前に出ないために
聞こえ難い声、あるいは発音をしてもそれがはっきりしない発音、になってしまう。
そのことは、効率が悪いし勿体無いと思うわけである。
ただ、長年かかって作った声だと思うので、一気に直そうとするのは無理があるし、難しい。

一つだけいえるのは、喉をなるべく浅めに意識した発声を心がけることと、舌をなるべく脱力してもらうことだろうか。
後は、特に開口母音を意識すること。
開口母音をなるべく広めに、特に口の中を大きく使ってみることである。

そして声は前に前に出して欲しい。ただし力まないで、である。
これらのことは、特に中音域で意識して欲しい。

今日はモーツアルトのL’oiseaux si tous les ansとDans un bois solitairを練習。
彼女は勉強家なので、フランス語は自力で読んできた。
ほとんど間違いなかったが、念のため私が朗読して間違いやリエゾンを直した。

発音の間違いそのものよりも、発音の仕方、あるいは形を直すことが多かった。
前述の発声の問題も絡むのだが、彼女は口の開きが足りないし、動きが足りない。
これはただ単に口先の開きではなくて、口の中の問題である。
口の中も狭過ぎるのである。

上顎の中をあたかも円形ドームやパラシュートのような開いた大きな空間のように感じて発音、発声して欲しい。
特にアとエの母音。

それから、逆に狭母音Uなどは、唇を良く突き出して欲しい。
その差がはっきりすればするほどフランス語らしいアーティキュレーションになる。

それにしてもこのモーツアルトの歌曲は優雅だ。
音程がしばしばおかしいところがあるので、要注意。
発声の関係もあると思うが、再度練習しておいてほしい。