今日は発声をやらずにひたすら合わせに終始。
夜の女王は一発勝負で綺麗に決まった。ので、その後繰り返しての微細な失敗は気にしないで本番には自信を持って臨んで欲しい。
それよりもちょっとくらい失敗したからといって顔に出さないこと。笑
屁理屈みたいで悪いけど、お芝居を声と歌で表現しているから結果的に外したり声が上手く行かないからといって、失敗した顔をするのは
表現から外れていると思う。
そうやって考えると、集中力の持ち場所はどこにあるか?という考え方の基準も出てくるだろうし、自分を良い意味でリラックスさせる
ことも考えられるだろう。
良いときもあれば悪いときもあるわけで、悪いからといってお芝居を止めるわけには行かないのが、この仕事のある意味で重要なところだから。。やる以上はどんな失敗をしてもお芝居の表現から外れないこと、というのもプロ意識の大切なことだと思う。
きくちさんは、元々の資質が重い声ではないし、コロラチューラをやるにしても同じだから、夜の女王だからといって、発声において力みすぎないで対処して欲しい。
女王の気品や尊厳は声質に求めないで自分の持ち声の範囲で、と考えればリラックス出来るだろう。
どんなに頑張ってもきくちさんが歌う「夜の女王」なのであって、きくちさん以上の「夜の女王」ではないのだ。
ピアノ伴奏は良い感じになってきた。
出来れば左手のバスの音をもっと出した方が重くなって良いだろう。
和音のフォルテは構成音のバランスを考えて打鍵しないと、キンキンしたうるさいだけのフォルテになるから要注意!
「こうもり」アデーレは彼女の愛らしさが充分表現出来ていて好感が持てる。
一所懸命表現しようとしているところがまたなんとも可愛くてよろしい。
何でも一所懸命さというのは大切だと思う。やれるだけやってみることだろう。
最後の高音は出来るならもう少し伸ばした方がサービスになってよいかな。
ピアノさんは音楽の変化をもっともっと大きく出した方が良いと思う。
ここから書くことは、今後の課題として。。
声は2点Aから後ろに引いてしまう声になりがちなのが弱さにつながるが、これは課題だろう。
頭声と当てた声とのバランスだと思うが、怖がらないで当てる声も開発する必要があるのではないか?
また、中低音も必要十分な声が出ているが、これも喉に頼っている面がある。
喉の耐性には、高音発声よりもこの中低音~中高音域の出し方が、関係あるような気がする。
歌うときの姿勢を改めて洗い出してから、顔が動かない発声を心がけることで、
今よりももっと奥で響かせる方法、開いた中低音の発声を考えて行きたいと思った。
終わってから少し雑談をしていると彼女の話し声が大分変わったな、と思った。
こちらに来出した頃はややがさがさとした低い話し声だったように思う。
発声のことレパートリーのこと人生の先々のこと、色々あるがこれから脂が乗った活動に向けていく世代だろう。
彼女らしく彼女のスタイルでどうやって行けば充実した活動が出来るか?
何とかその手伝いをして行きたいものだ、と思った。
今度の本番はどうか楽しく気持ちよく過ごしてもらいたい。成功を祈っている。
なかのさん
彼も結構長い間レッスンに通ってもらい、途中でテノールという方向を見出した。
まだまだ発声の課題は多いのだが、まずはテノールの歌を歌えるかどうか?
というハードルを与えてそれを乗り越えつるある、という印象。
まだまだ喉で頼って歌っているが、微妙に喉に無理をかけないで歌う意識も働いているのが判る。
実際、そうしなければこれだけの歌を何度も歌えないはずだからだ。
思ったことはくれぐれも喉を壊さないで、続けて欲しいこと。
喉を壊さなければ、確実に成長できると思うからだ。
フォーレの「シャイロックのシャンソン」は歌いだしから若々しい男らしさが出ていて好感が持てる演奏。
これに限らないが、彼は歌のリズムが先走る傾向がある。
落ち着いてテンポを確実に歌うことが、全体の良い印象につながること。
ある意味で先走っている方が楽かもしれないが、逆に捉えれば、しっかり歩留まり良く歌うことで声を客観的に処理できる面もあることを認識で出来れば良いのだが。
「バラ」も、この曲の良さを8割がた表現できていて秀逸。
ピアノがやや重い印象が残るが、歌とのバランスが良い部分もあり、この曲の長所に
目を留めさせてくれた彼の功績は大きい。
今の時点では声で何かすることよりもピアノ伴奏で強弱を充分付けることだろう。
後は、前奏の旋律を良く出して歌うこと。
モーツアルト「後宮よりの遁走」ベルモンテのアリアはこれも実はなかなか厳しいが、どうにか良く歌えている。
苦しいけれども、何とか全編通して破綻を出さずに歌えているので、私としては合格点を上げたい。
これもピアニストには彼の声をサポートして欲しい。
ガンガン行くと声も厳しくなるので、その辺りは良く注意して欲しい。
今回の本番は、彼にとって本格的なテノールの曲を発表する良い機会である。
これを通り抜ければ先が開けるだろう。
そういういみで試金石となる機会なので、良い集中を望みたい。
成功を心から祈っている。