FAさん
発声練習を母音でハミングで始めてみたが、どうも良くなかった。
低音から始めると、明らかに喉で押してしまっているようであった。
それで高い方、2点C以上でハミングをしてみたが、これも同じであった。
ちょっと悪い癖が出ているようだったので、母音に戻して高い2点Fくらいから完全にチェンジした声で下降形5度で練習。
1点Eくらいまでその声を保って、再び上向で練習。
どうにか、開いた声で発声を終えられた。
曲はアーンのChansons grises3番のL’allee est sans finから。
1回目の通しでは、特に彼女の声だな~、まあこんなものか~という印象。
悪くは無い、という感じ。
取りあえず4番のEn sourdineを。
これが、喉が温まったのか低音が良い響きが出だしてきた。
それに意を強くして、低音をもう少し深い響きでしっかり出してもらった。
これが、正解で、開いた深みのあるメゾらしい良い響きが出てきたのであった。
また、ブレスを曖昧にすると、直ぐに元の声に戻ってしまうが、意識して理解したようなので、上手く行くだろう。
時折、ぐるっという感じで更に強い中低音の声が出せそうな響きが、顔をのぞかせていて、それが定着できると、本格的なアリアも歌えるメゾソプラノの誕生、という感じである。
この声の路線は彼女には良かった、と思う。
今日の中低音の発声法が本人の中で確立すれば、恐らく本番で緊張して上がるとしても、へろへろっとした小さな声にならずに済むだろう。
5番のL’heure exquiseは、声が変わってとても分かりやすくなった。
単に声の響きが良く通るだけで、これだけ変わるか?というくらいである。
ブレスも伸びているし、大丈夫だろう。