FAさん
発声練習は母音で中音域から下降形で始めて、昇り降り。
また上向5度スケール、3度5度など。
喉が温まらないと、少しピリピリとした雑音が混じるが、温まるとなくなる。
彼女の声帯が長く薄い、というイメージが沸く。
発声時には、やはり2点C~Eくらいを目処に、声帯を開いて息を混ぜるように。
そうすることで、声区の転換が容易になることを覚えて欲しい。
特に上向形の発声練習である。
歌はアーンのL’allee est sans finから。
出だしのL’alleeの1点hの声の響きだけ、きちっと出すことさえ上手く行けば、声的には上手く行くだろう。
テンポは確かに4分音符=72くらいの設定だが、テーマの部分はもう少し語るスピード感が欲しい。
それは、意味を伝える話者の気持ちとしては、情熱がある方が良く伝わると思うからである。
ただ、これはもしかすると男性的な表現かもしれないのだが。。
En sourdineは、うねうねと続く低音が滑らかで艶があり、調子が良かった。
出来ればこれに満足せず、更に良い響きを出そうと心がけて見て欲しい。
特に鼻母音などは、薄くならずに、深い響き、胸にも響くような深さが出てくると素晴らしい。
L’heure exquiseも、声の調子は良かった。低音はぎりぎり保って、無理が無い。
最後のC’estの4分音符?は、長く響かさないで、さっさと次に進む方が得策である。
ここでは、低音の響きよりも上の響きを長く保つこと、そのためのフレージングに研究の余地がある。
なるべく、伸ばしたいところだから。
後はレッスンで言い忘れたが、2ページ目は、できればもう少しブレスが少ないと理想的である。
今日は、全ての曲の朗読練習をした。
彼女も喋り声が低く、また声帯があまり合わないすかすかした声の使い方である。
高いトーンで、声帯をきちんと合わせた声を使うように。
子音の扱いをきちっと正確にすることで、前述の声帯の合った、あるいはトーンの高い声に寄与するだろう。
高く喋るにしても、ここでも上顎の感覚は大切である。
上顎の中が高く丸い天井のようになった意識を持つこと。
発音は悪くないが、鼻母音がきっちり響かない癖があるので、なるべく響かせることを心がけて欲しい。
フランス語の語りの抑揚などは、難しい。習うより慣れである。
機会があったら、朗読のCDなどたくさん出ているので聴いてみて欲しい。
聴けば、自然に覚えて行くだろう。
ピアノを弾きながら、ちらちらと歌う姿を見ていると、表情がとても豊かで良いことに気づく。
恐らく、詩の内容を一所懸命イメージしているか、音楽的な集中力が良いのだと思う。
彼女の場合惜しむらくは楽器としての訓練度、あるいは扱い方の慣れ、要領において未完成である。
難しい音楽的なレベルの話ではなく、単に音響効果としての声に対する感覚、練磨、それらを含んだ声そのものの扱い方に熟練することである。
これが出来てくる、あるいは分かってくると、非常に良い歌い手になれる可能性があるだろう。
ピアノで言えば、例えば腕とか手首の扱い方とか、指そのものの訓練など。
一方、座り方に対して、立ち方は良くなってきた。
姿勢も良大分しっかりしてきた。
後は、歌う顔の姿勢として、あごが出ないほうが、恐らくもっと声帯を開くことが容易になるはずなのだが、これは自身で分からないとなかなか定着しないと思う。
この辺は中長期的に続けられれば、必ず分かるようになるだろう。
OKさん
今日は発声練習は最短コースだった。
まあ、それくらい調子が良いといえば良い。
発声もコツが大分分かってきたようである。
ハミング、母音、取り混ぜて10分くらいである。
ハミングで喉をリラックスさせて、中低音を練習するのは、普段使わない喉の
活性化にとても良さそうである。
今の発声の問題は、まだ軟口蓋を上げること、上を開けるということが、分かっていないこと。
だから、せっかくハミングで良い喉の状態を作っても、母音発声で、喉頭と軟口蓋とで引っ張り合って、良いポジションを作るバランスが取れないので、結果的に喉で押す声になり勝ちな点である。
もちろん、この点もちょっと注意すれば、こちらの意図したことに着いてきてくれるので、コツが分かってきた、ということは言えるのである。
唇をなるべく突き出すように使うこと、同時に軟口蓋が上がって、喉奥から軟口蓋にかけて、空間が出来た状態を常に意識することである。声はそういう状態、準備が出来ていないと出してはいけない!くらいに。
彼女の場合、下あごを使って喉を下げる、いわゆる喉を開くことはあまりしない方が良いと思う。
唇を突き出すほうが、舌根に力みが少ないし、喉を開きすぎないために、呼気を濫費しないで済む。
そうなれば、体全体の力みもなくなるし、当然コントローラブルな声になるだろう。
しかし、くどいようだが、常に軟口蓋を上げて、鼻腔側の空間、響きを同時に持たないと、音程が♭になるから、くれぐれも両者を大切に。
曲はイタリア古典中声用、Vergin tutto amorから。
最後のフレーズO vergin tutto amore vergin tutto amor
などのように、声を張りたくなると、喉の準備を適当に、エイヤと喉で張って出してしまうので喉声になる。
これが、まだまだあるので、要注意。
どんな時も、ブレス、準備、声、というきちっとした対処で、綺麗な歌声できちっと歌うことである。
Tu lo sai
まとまりが良い。ただ、高めの音域で力み勝ちなので、どうしても出し過ぎになることに注意。
特に出だしのTuのウの母音は、前に出すと言うより、吸い込むと自然に響きが出るような発声感覚である。
下あごをあまり使わないで、最初の喉と鼻腔とのバランスの良い響きが出たら、なるべくそれを保つようにアーティキュレーションしよう。
Lascia ch’io pianga
レシタティーヴォは大変良い。
アリア部、出だしは、ポイントを高すぎずに、ゆったりと下の声を出すように。
高音域は、恐らく全体に声を出し過ぎていた。
下あごを下げるよりも、唇を突き出すやり方の方が、無駄な呼気を使わずに、喉が開くだろう。
高音域は、出し過ぎないで、良いポイントを出せるように。