TK

今日は発声で良い感触を得られた。恐らく今までで初めてくらい良かった。
どう良かったか?というと、中高音域の声でようやく開いた良い響きが出せるようになってきたこと。
それも開母音ではなく、狭母音、あるいは締まり易いEなどの母音でである。

口先を大きく開くよりも、奥歯の指一本分入るくらいの空間を感じるように、母音を発声。
あるいは、いわゆる「あくび状態」それも大あくびでなく、あくびを軽く噛み殺すような感じの喉。
こんなことは、前もやったことがあったけど、それが声に反映されて上手く出来るようになった、ということ。
それだけで大きな進歩である。

彼女の声は鼻腔は良く通って、細く芯のある声だが、やや締り気味である。
良く言えばボーイソプラノ的なのだが、響きの膨らみ感がないので、意外と大きく響かないのである。

今日の発声はこれからどんどん覚えて、更に歌詞による発声でも応用して練習して行きたい。
今日はバッハのカンタータ1番を、細かく母音の響きを確認しながらフレーズを作っていった。
狭母音でもその狭さや形を出そうとしないで、響きを大切に。

最後にBWV21のアリアSeufzer Tranen kummer,not
子音の扱いによって高音域の発声が難しいが、強く扱わないで軽く、またなるべく舌を使って奥でソフトに扱うことで
母音発声の響きを壊さないように。SeufzerのZがチェにならないように。

声は、歌いやすい音域ほど気をつけて欲しい。ぐいぐい出すと、概して喉で出してしまうからだ。
また、中高音の響きと、中低音の響きに段差が付かないように注意!
上から降りる際には、特に気を付けて、上の響きのまま押さないで下の響きを出すことで、滑らかになる。

TT

風邪気味で練習不足とのことだったが、声は思ったより調子が良かった。
りんごみたいな甘酸っぱい、嫋々とした風情の声が良い。
また、歌えば歌うほど調子が出てくるところも彼女の良いところだ。

しかしもっと響きが出せるはずだ、と思う。
いわゆる中の開いた響き、である。
声を太く強く、と言う意味ではなく、共鳴を得られる喉から口の中の状態を、もう少し意識して作れる気がした。
今日は細かい発声のことに及ばなかったが、余裕のあるときに少し細かくやってみたい。

恐らく単に最高音域が細いとか柔らかい、とか言う以前に、もう少し中を大きく開いた発声が出来ることで、
最高音域のアタックも変わってくるのではないか?

ゆったりとした調子で、確実に声を出すことが出来れば、開発出来ると思う。
彼女はやや調子が早くなる傾向なので、上記の発声の練習のためとすれば、ゆったりとしたシンプルな曲が良いだろう。

今日はベッリーニの「清教徒」Son vergin vezzosa
前回よりも進歩。高音域も安定したし、何より半音階の1オクターブ以上のスケールの上下降が、とても上手くなった。
この曲はマーチ風で、声を強く扱い勝ちなのだが、中高音域のフォルテの声が、やや潰れてしまう。
フォルテ、とあっても響きをあくまで大切にしたい。

最後にモーツアルトIl re pastore2幕冒頭のアリア「おぉ!神よ」を2ページくらい譜読み。
今までやっていた次の場面のアリアより難易度は軽そうであり、バランスが良さそう。
高音の転がりが良くなってきたので、楽しみである。

WH

彼女もなかなか頑張るところがあって、頼もしい。
一から教えた子飼いの弟子なので、そんな成長を感じるのが嬉しいものである。

DonaudyのVaghissima sembianza
かなり出来てきて完成度が高まってきた。
2点G以上の高音域響きの質も、たた頭声だけですかすかしないで、芯がついてきて、そのうえ響きをクレッシェンド出来るようになってきている。
しかもそこに至るまでの中高音域は、きちんと響きが意識された声に統一されてきており、喉で押さない綺麗な明るい響きで歌えている。

2点Cから下の低音はなるべく高く、必要以上に深くしない方が上の声との統一が取れて良いだろう。
また、テヌートの旋律、特に最高音に昇った後の節の終わりのコーダ部の旋律は充分テヌートして良い。

L’abbnadonoは、もう良いか、と思ったがやってみると、やはり欲が出る。
リズムの正確さみたいなものが、やはり大切だ。
Allegro agitatoとなっているが、彼女の場合、その通りにやらないで、着実で正確なリズムを
冷静に歌いこんで、響きを綺麗に歌うほうが先決だろうと思った。
声は良いレベルにあると思うが、やはり中高音辺りの響きを意識して、横開きに平たい声にならないように注意!

今日もプッチーニの「ツバメ」からドレッタのアリア。
高音が難しいが、高音のメッザヴォーチェから、フォルテまでの良い響きを追及した。
進歩が感じられるのは、2点h~3点Cへ動くフレーズの響き。
まだ、共鳴まで行かないが、かなりしっかりした3点Cの発声が出来るようになった。

この曲、冒頭の中音域のフレージングだが、何となく甘ったるくポルタメントだらけにならないように。
だらしない感じに聞こえてしまうから。もっと溌剌として、きりっとした感じを出して欲しい。
高音は、フォルテよりもメッザヴォーチェが難しい。
前に出そうとしないこと、中で響かせること、強く出す力みを極力排すること、だろうか。
落ち着いて冷静に対処して欲しい。
この曲で高音の強弱の声の質を徹底して追及して欲しい。もちろん練習のやり過ぎに注意!