NS
発声練習は母音のアで5度上向、下降合わせて5分くらい。
喉が温まっていなかったが、調子は良いようであった。
曲も歌うほどに調子は戻ったので、喉そのものは調子が良い感じ。
フォーレの「月の光」から。
最初はちょっと喉が高くきつい神経質な響きだったが、子音の扱いなど教えているうちに、徐々に良い具合になってきた。
要するに喉が自然に開いてきて、下の響きが綺麗にミックスしてきたのだろう。
子音は上手く使えれば発声を良くする効果があると思う。
特にZとかVなど。
片や気をつけるのはMやBなど。
しかし、なんでも出せば良いというものもでないし、言葉の語感と結びつく場所だから、経験しかないだろう。
取り合えず必要と思われるポイントを教えた。
後は、中低音~中高音域に限定されるので、フォルテの響きから類推して、Pの響き、フレーズのニュアンスを充分出すこと、出すべき場所を教えた。
特にTout en chantant sur le mode mineurのToutの2点Esの響きは母音がウになるせいもあるが、厚ぼったくならないように。細く繊細な響きを心がけて欲しい。
中間部のAu calme ,,のフレーズの声のニュアンスも大切に。
Calme とClairの母音の響きを繊細に扱うこと。
また、特に後半のTriste et beauxという語感のニュアンスを大切にしてほしい。
次にプーランクのC’est ainsi que tu esを。
強い表現、口調のところと、ノスタルジックに優しい表現のところの違いをはっきりと。
声を大きくというよりも、語るスピード感と、言葉の扱い。
したがって、Ton pied courant le temps,ton ombre qui s’etend et murmure a ma tempeのところ。
Voila c’est ton portrait C’est ainsi que tu esは、一回ブレスを入れたほうが良い。
ピアノとのアンサンブルが大切だが、くれぐれもピアニストさんには4分音符でリトミックにばかばか弾かないようにとお願いしたい。
8分音符単位で、でれでれにほぐれた弾き方と、前に進む弾き方との違いを大きく出すこと。
勿論、歌手のフレージングの必要は大きいが。
最後にビゼーのChanson du printempsを。
これも綺麗に歌えるのだが、何とも情熱が足りない感じ。
まずは言葉でそれを表す所から始めてみてはどうか?
今の彼女であれば、声のことばかりにこだわらずに、直截に音楽と言葉を表現することに意を注ぐことも大切な要素だと感じる。
あるいは、そのことが発声をどうしていくか?という展開を開いて行くきっかけにもなるかもしれない。
IA
今日はアーンの歌曲4曲。
新たにMaiを持ってきた。
ロマンティックな響きだが、予想以上にテンポは速い。
テンポの緩急はとても上手い。
テンポの緩急をこれだけつけられるところが、彼女の実力を如実に表しているだろう。
後は、歌詞を語る意識をもう少し持っても良いと思う。
DepuisのD ChereのCh、LoinのLw
Et J’aiのJ、FleurirのFlなどなど。
語頭の子音と母音は結構大切な場合が多い。
子音はどこでも出せば良いというものでもないが、要所を押さえてほしい。
それどフレーズの入りも全体に弱くなりすぎないように。
最後の高音は、上の響きだけにならないように、少し下顎をも下げてしっかりした響きを出しても良いと思う。
次にQuand je fus pris au pavillon
ほぼ何も言うことが無かった。
良く歌えているが、後は本人の歌う意味、音楽も語る調子なので良く意味をそしゃくし、それが音楽にどう表現されているか?
を実感して、少し強調して歌うことが、良い演奏につながると思う。
ただ、あくまで本人が実感しないと意味が無いのだが。
次がLe printemps
これはこちらがピアノ伴奏がお手上げなので、ひたすら歌ってもらうだけになった。
思ったのは、この歌の特徴的な旋律の形、3連符の扱いをきちっとさせること。
それから、言葉の扱いだが、Fleurissent,Amantes,cherissent,delivrent,fleutrissentなどのイの母音長い音符にはまるところを、
その前の語頭をしっかり出すようにしたり、あるいは、Delivrentなどは、イの方を放り投げるようにした歌い方、とか、
いずれにしても、この脚韻の部分の美しさを充分感じて活かすことを大切にして欲しい。
また、楽譜に書いてあるテヌート記号はもちろん尊重してほしい。
この場合は、そのほとんどがその言葉の語感を出すために、作者が記入している。
例えば、Eclatantのclaのところなど。
また、LesやLeursなどのLの子音、CheveuxなどのChも明快に舌を使う意識を。
それもこれも、この曲の楽譜冒頭に記されている、avec enthousiasm,avec ivresseを出すためである。
これは仮に書いていなかったとしても、この音楽が雄弁に語っているから当然のことなのだが。。。
A Chloris
声は非常に美しく、またレガートに歌えている素晴らしい。
出だしのフレーズの休符はブレスを入れずに、コンマで区切るだけにした方が良い。
休符があっても、フレーズ自体は活きているからである。
休符=ブレスではなく、あくまでフレーズを見ること。