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発声練習は母音アで1点Aから上に向けて始めた。

最初に教えたことは、発声練習は、単純な音形で半音階ずつ昇ったり降りたりで、機械的な印象を免れないが、それでも、その音のイメージを声にしようという意識、努力を持って欲しいということ。
努力と言うと大げさだが、ドレミファソなりソファミレドなりでも、音にしたら何がしかのイメージがあると思う。

明るい太陽がさんさんと降ってくるイメージなど湧いてくると思う。
緑の向こうに青空が見えないだろうか?
そういうものを声にする、という素朴な感動、素朴な原点を決して忘れないで欲しい。
それは、感情が声を作る、発声の原点だ、ということを最初にしっかり覚えて欲しいからである。

声は本来、暗さとか欝とした雰囲気とかを表すために出していたのではない、本来明るい率直なきらきらしたもの、として生まれたのではないだろうか?

さて、そうやって練習してみれば、半音ずつ昇って行くのでも、自然とブレスの仕方が変わると思う。
それから、声の出し始めでは、微妙に喉を開いて息が混ざるような出し方を大切にして欲しい。
例えば、ッア~ではなく、ハ~という感じ。
しかしドイツ語のChではなく、あくまで自然に息が声の力に協力している感覚である。

こんな練習をしながら、今日は高音の練習をした。
2点Eくらいから上になると、喉が上がって締まるし、声もチェンジしてますます細く頼りなくなる。

最初はあくびを強くしてみたり、声を当てる場所を深くしていくことなどを練習した。
最終的にはスタッカートで高くなるほど深く当てる、というやりかたが良いようだった。
そこから同様にしてレガートにしても同じように高音に昇るにつれ深さを増すように出して行くように。
それから、喉の深さは喉だけではなくて、軟口蓋側を高くする意識と比例する傾向があるから、上顎も積極的に上げるような意識が大切。

曲はアーンのSi mes vers avaient des ailes
前回に比べると少しずつ声を響かそうという努力が見えてきた。
今日も、更にそれを推し進めるために、再び母音での練習を始めた。

やってみて一番感じたのは、声を出す際に顔が前に微妙に出てしまうこと。
特に音程が高くなると、その傾向が強い。
顔が動かないことで喉が自然に動かないから、喉で力まなくて済むのである。
そのことは、喉や喉周辺を力ませないために、腰から背筋をしっかり使って首を支えることに繋がるだろう。
舌根や下あごの代わりに、身体全体を使うことになる。

母音での練習は母音のアが一番良いようである。
喉が広く使えて、響きに無理が無い。
実際の歌詞でも、特にエなどの狭くなり勝ちが母音を、アに近づける努力を覚えて欲しい。

これは、特に次に歌ったLidyaでは重要である。
高音で顔が前に出そうになったときほど、顎を引くように、あるいは下あごを動かさないアーティキュレーションを努力してみよう。

回を重ねるごとに良い感触を出しているので、フランスの18世紀のロマンス集をやってみることにした。