TK
発声練習ではZ,Vなどを中心にして、子音と母音を繋げて練習。
Zはきちっと舌と歯がついて、あるいはVは歯と唇での擦過音が出れば、自然に喉が開く声になるはずなのだが、そのことが一番の目的である。
曲はバッハのカンターター1番のNo3とBWV21からNo3のアリア
発表会はこの2曲に決定。
ベーシックなところで子音の扱いに関して徹底した方が良いと思ったので、この2曲の練習も子音の扱いに終始した。
子音から発音して母音に行くという理解は日本人の場合多く持っても良いことはあっても
悪いことはないだろう。
翻訳的な意味も大切だけど、語感というのは単に意味を分かって歌うのとは違う、言葉の音楽的な側面を扱う大切なところだと思う。
子音を発音するスピードも、音楽の流れの中で音楽に関係してくる。
例えば、次の子音を早めに処理するためには、前の単語の語尾の切り方にも関係してくる。
また、音程の問題も子音で音程処理するのか、母音で処理するのか?という違いもある。
これらのことは、普段の日本語の処理とかなり違う側面があるから、慣れることのみである。
練習は歌わなくても出来ると思うので、良く練習を積み重ねてほしい。
FT
彼は歌う際に、身体周りの使い方がどうも硬く、柔軟性に欠ける様子が見て取れる。
歌うことと呼吸の関係が、自然な関係になっておらず、何か特別なことをしているように見える。
また、顎から舌に関しても、何かぎこちなく硬い印象が強い。
どうも発声と言うと、特別なことをしなければならない、とイメージが強くついてしまったのだろうか?
原因の一つは、歌詞をはっきり言おうとしてしまうことだろうか?
もう一つは、単に息を歌に関与させる感覚である。
後者に関しては、息だけでフレーズを歌う練習。
歌は頭の中で歌って、息をフレーズで吐いていく練習である。
そのことで、フレーズを平均した息の吐き方で綺麗にフレージングする、シミュレーションをするわけである。
息を吐くとお腹はへこみ、戻すと自然に息が入る、とい根本を自然に脱力してできて欲しいこと。
その上で、息は分かり難ければ歯で音をさせるが、出来れば実際に息を吐くほうが良い。
発声に関係するから、息を直に吐き出さないで、軟口蓋辺りに当てるように吐くのが良い。
これらの練習で出来たことは、息をお腹で自然に吐いていく感覚を持つと、少なくとも
中低音域では悪い意味でてにをはの出すぎた母音処理がなくなって、とても良い脱力した
口さばきが出来たことである。
歌になると、音だけに集中して息を忘れてしまうものだが、息の関与が自分ではっきり分かることで、リズムの自然な進み具合、フレーズの流れが自然に出来るようになる。
音楽が流れるのである。
そのことが、喉の脱力にも繋がるから、この点を今後は徹底して欲しい。
NSA
初めての方。3年後くらいを目途に音大を目指しているとのこと。
声を聞かせてもらうと、素直な癖のない声で、高音の素質は充分ある。
首の座りが良くて、喉が安定している感じである。
喉とか歌う身体としては、良い条件はあるように思えた。
課題としては、お腹や腰などの身体の基幹となるところが、ほとんど使われていない感じ。
それから、喉の開きなどがほとんど意識されていない。
口を見ると、口を開けて歌うこと、あるいは口を開ける意味などが、まだ理解実行されていない。
以上のことを実際の歌で練習してみた。
歌は、イタリア古典からLascia ch’io piangaを。
アリアだけだが、中低音の響きがすかすかして芯がつかないことと、お腹の使い方がまだ未熟なのでブレスそのものも厳しい。
これから、中低音の声質や腹式呼吸など、少し教えて、様子を見て行きたい。
AC
彼女、もう少し身体を積極的に使う癖が出来ると、良いのにな~と思った。
身体は立派な身体を持っているのだから、しっかり腹から声を出せば良いのである。
何となく、ではなく、かなり明快に使う、ということ、特にお腹や腰まわりである。
で、そのことに何か躊躇することがあるとしたら、それは声に対する気遣いだろうか?
低音は地声が強くなる、あるいは中高音になると、今度は喉が締まる、ということだろうか?
声を出す際には、喉で合わせようとしないで、開いておいて息をしっかり出すようにすると、
共鳴が生まれる。声の響きは共鳴である、と思って、その分をしっかり呼気を使えるようになって欲しい。
今日は細かいことをやらずに、とにかくしっかり歌う方向で練習した。
ハミング、そしてハミングから母音に変換などして、喉だけではなく軟口蓋も上がるように。
要するに、どの音域でも中を良く開いた発声を意識してくれれば良い。
曲はデュパルクのPhidyleから。
後半よりも、特に前半最初の部分が一番難しいだろう。
子音を明快に扱うことで、特にLの子音を大切に。
そのことで、上が開いて明快な母音の響きになることを大切に。
Soupirは、とても良い。Uの母音をしっかりしめて深くなったことが実感できた。
あいまい母音は予想以上に広く、あるいはその前の母音の口のままでやってちょうど良いだろう。
Serenade Florentineは、上を開け続ける意識をしっかり持って欲しい。
ただし、下もしっかり開き続けるためには、横隔膜を開き続ける支えの意識を忘れずに。
結果的に喉が温まると、調子が良いのだが、温まっていなくても、同じように身体を使う、喉を開く、という基本的なことを
KY
今日も普通に発声練習から歌に、となったが、最終的には発声のテーマになった。
彼女はどうも高音になってくると、喉を強く下げる癖がついてしまう。
これは以前からの課題だし、発声練習では、ほぼ1年半前の状態に戻りつつあるので、心配は要らないだろう。
高音も開いた母音であれば、綺麗に2点bまでは出せる。
曲は前回と同じく、ディズニーの2曲。
この曲で、特に母音のイになるとそれが強いために、響きが高音に上手く入れないところがある。
喉を触ってみると、とても硬くしている。
もう少し高音では、声量を狙わないで細くても楽に滑らかな声で歌う練習も必要だろう。
また、母音の意識もかなり変えたほうが良いだろう。
日本語の母音の感覚で律儀に出そうとすると、喉に来る可能性が大きい。
高音の狭母音の問題は、単に高音を怖がっている感覚的なこともあるようなので、多少のことは気にしないで、思い切り出すことも必要かもしれない。
やってみないと、分からないが、これから少しずつやって声を戻して行ければ良いだろう。