HA

安定した、彼女らしい軽くて柔らかく、女性らしい良い声で歌えたレッスンであった。
歌唱も安定して、2年ほどのレッスン通いの成果が結実してきた印象。
彼女もずぶの素人からだが、それが良い面で彼女の努力、研究を進めたのだろうし、また
素直な喉と、思いのほかの筋肉的にしっかりした身体能力が、良いバランスを産んだのだと思う。
そして一番大きいのが、イメージ力の強さであろう。
こういう声になりたい、あるいはこういう声で歌いたいという彼女の趣味志向がはっきりしていることも大きい。

Star vicinoは、後半のMeno mossoはピアノとの合わせで調整したい。
声のニュアンスや強弱を気にするようなタイプの声ではないというのもあるが、今はあまり弱い方に意識を持っていかなくて良い。
全篇綺麗に出せる良い声を出すことだけに集中して欲しい。
それは、他の2曲もまったく同じである。
Lungi dal caro beneもテンポの設定だろう。中間部から後半、再現部への繋ぎ方。

My true loveは、日本語と言うことと、低音が多いということ。
最初の入りの、「わたしは」は、大げさにならない範囲で、わ~の入りが遅くならないように。
その他、低音で響き難いせいもあるので、フレーズの入りの食いつきに注意。
伴奏のピアノの音量と声とのバランス、あるいはテンポなど、この曲が一番伴奏合わせが心配である。
次回の合わせを期待したい。

KH

今日のレッスンも安定した歌いっぷりで、こちらも安心出来た。
時折見せる発声の力みもあるにはあるが、徐々に取れてきているので早晩解決するだろう。
見ていると、上に上がる時に力む傾向があるが、どういう時に力んでいて、それを実感した時に自分で意識できると、急激に改善されると思う。

ドナウディのVaghissima sembianza高音ほど喉を下げようと言う意識があるのは、良いが、それがやや強すぎるかもしれない。しかし、安定して綺麗に歌えているので、先ずは良いと思う。
最高音は完全にチェンジしているので、むしろ楽に聞こえるのがその良い証拠である。
ただ、細すぎても困るので、難しいことは難しいのだが。

レオンカヴァッロのAve Mariaは、冒頭の入りが弱すぎないように。
後はほぼ言うべきことが無い。
歌うこと、譜読み、発音、それらがそつなくまとまって歌えているが、そうそう初心者が出来ることではないのだが。
その辺りの処理能力はなかなかなものだと感心する。
簡単な歌ではないのだが。
逆に長期的な課題として、発声の響き、明るい力まない、良く響く響きは、追求して欲しいと思う。

最後にBachのBist du bei mir
出だしから、やや声を出し過ぎというのか、これもやはり気負い、力みにつながるだろうか。
Intimeな気持ちで歌うことを忘れないように。
同じ言葉でも、フレーズによって音楽が変わるところからそのニュアンスが自然に変わるところなども注意を。
伴奏合わせの結果が楽しみで、期待している。

AC

発声練習を見ていると、まだ身体の力みと、硬さが感じられる。
それに呼応して、チェンジ領域に入って行く時の、口の開け方など、まだまだ改善の余地があるなという印象。
要するに、発声をしている最中に、口をもっと自由に、柔軟に使える、動かせることである。
これが出来ると、喉自体も柔軟になって、硬さが取れるし響きの変化を柔軟に感じて即応できるようになる。

一言で言えば、音域に応じて声の出方が変わるのだが、それを常に最適の状態にするために
息の送り方や口の開け方を柔軟に対処するということである。

曲はデュパルクのSoupirから。声のことや、歌い方は文句なし。最高と言う意味ではない。
細かいこと、発音と声の関係など、まだまだ課題はあるが、今回は綺麗に気持ちよく歌えれば良しとしたいという観点から、である。
伴奏とのアンサンブルが非常に楽しみである。
Serenade Florentineも同様。後で今日の録音を聴いたら、やはりEt fais descendre sur ses yeux la benediction des cieuxは、絶対に一息で歌える!と確信した。トライして欲しい!

多分一番難しいのがPhidyleだろう。特に最初の1ページである。ここだけ、特化しても良い。
出だしの母音の響きとその食いつき具合、伴奏の和音の変化と声の関係。ここでもう少し改善できれば、最高である。次回を楽しみにしたい。

KY

今日は発声を30分近く費やした。
少し間が空いてしまってエンジンがかかるのに時間がかかるだろうと思ったことと、やはり
高音域が難しいことである。

結論から言えば、声の出し始めできちんと喉を開いてブレスをして出す意識と、高音になるほど口の奥を広げていくこと。

喉の開きは母音をオにすると分かりやすいようである。
ただ、喉を開いて行くことと、軟口蓋を上げて行くことの両方をバランスを取るのが難しいので、喉が上がり易い彼女は、先ず喉を開くこと、あるいは高音で喉が上がらないように持って行くことを覚えると良いだろう。
ある程度定着したら、それにバランスして軟口蓋を上げて行くために、上顎を上げて行くような意識を付け足して行くと良いと思う。

今日はベッリーニのVaga lunaから。
改めて、彼女の声の良さに瞠目。
単に発声が良いとかいうテクニック的な意味よりも、彼女自身が持っている明るさ、素直さ、
温かさが、すべて声に素直に凝縮されていることだろう。
人柄が声に良い面で現れている典型である。
こればっかりは努力で手に入るものでもないので、彼女はそれを大切にすべきである。

ブレスを怖がらないで、思い切って長いフレーズでも一息で歌えるだけ歌ってみよう。
そしてこの曲の高音も、理屈ぬきで思い切って出して欲しい。
難しく考えなくても歌えるはずである。

最後にディズニーのSomeone’s waiting for youを聞かせてもらった。
暖かい可愛い歌でおもわずほろりとさせられるものだった。