TK
今日は伴奏合わせ。声だけとか歌だけの問題よりもアンサンブルに主眼は行った。
なんといってもバッハ。今回の2曲はまったく違う音楽だが、底に流れる大切なことは一つ。
リズムのビートを根本的にしっかり捉えること。
BWV21のIch hatte viel Bekunmernisのアリア、Sefzer tranen,Kummer,Notから。
こちら12/8拍子。1拍ずつを大切に歌うことが先ず基本だろう。

それがきちっとした上での大きなフレーズという順番は忘れないように。
後はピアノの表現である。とはいっても、根本的なことで、この悲しい切実な叫びを感じて弾く事意外に何があるだろうか?そういう表現が歌手に与える影響を良く考えて、全体を弾きとおして欲しい。同じ12/8でも、楽しい音楽と悲しい音楽ではリズムのあり方が違うはずである。
また、指示にもMolto Adagioを書いてある。

2曲目、BWV1,Wie schon leuchtet der Morgensterneの1、Erfullet ihr himmlischen,gottelichen Flammen
歌はスタッカートをやり過ぎる。レガートの場所とスタッカートの使い分けを。
分からなければもっとレガートで良い。
ピアノ、左手の通奏低音のリズムに注意!もっとリズミカルで正確であること。
重すぎずに、かつ跳ねるように。左手は右手より少しダイナミックが低めの方が良い。
右手がメリスマを歌うときは、歌の邪魔にならないように。

全体に歌はもう心配なことが無いので、後はひたすらピアノとのアンサンブルの練磨だと思う。

SM

デュパルクのChanson tristeは、なんといっても高音の響きと音程である。
太く当って音程が♭になることに注意を。
特に下から上がる音程では、気をつけて欲しい。
当てすぎないで、軽く当てることと、後ろに引くようにしたほうが綺麗だろう。
フォルテはほとんど意識しない方が良いと思う。

ドビュッシーも課題は同じである。それ以外は、テンポが速すぎないように。
これはピアノとのアンサンブルだが、彼女自身が急ぐ傾向もあるので、注意。

マスネーのエロディアードは、声よりもピアノとのアンサンブルなので、ほとんど言うことは無い。アンサンブル、構成さえ立体的に出来れば、面白いアリアになるだろう。
単純に歌いとおすだけだと、ちょっと退屈な歌になってしまうと思う。
その点だけ、イメージしておいて欲しい。

TT

今日も声の調子は絶好調で、気力満々、充実しているようである。
Lucrezia Borgiaのアリアも、全体にリズム感が平準化して、落ち着いた演奏に到達した。
一部中音域のメリスマが声が暗くなるから、気を付けて。
最後の高音は間合いを落ち着いて対処すればもっと良い声が出せるだろう。

モーツアルトIl re pastoreも構成、安定度いずれも良い。
今日は最後のページの高音の対処を良く練習した。
彼女はブレスの取りかたが、良い意味で脱力出来ているのだが、やや浅い傾向がある。
そのため、ブレスに間合いが取れれば良いが、間合いが取れないとやはり響きが出にくいし、特にドラマティックな太さが出せない。

また、バランス的に頭声の傾向が強いので、芯のある高音になりにくい。
バランス的に、もう少し喉が開いた傾向のブレスを心がけること、あるいは低音~高音という
フレーズの場合、下側の響きを持ち上げる力、支えを持つことだろう。

ただ、一朝一夕で行かないから無理しなくても良いが、少しずつ覚えて欲しい。

WH

ドナウディのO del mio dolce amato benは、中低音をしっかり太く歌って、威厳のあるとても良い歌になっている。また、全体に非常に丁寧だし、リズム感も良い。
さびの部分のテヌートやリタルダンドのかけ具合も頃合が良く、ほぼ完璧に近くなって、素晴らしい。

ドニゼッティのIl barcaioloは、まだ課題が残る。
出だしから、ドナウディの同じように歌っても良いのだが、そうなると高音が厳しい。
高音域も現状は細すぎてチェンジが目立つ。もう少し当った響きが欲しい。
何度も変えて悪かったが、結局中間のカデンツへのブレスを変更。
発音をあいまいにさせて、レガートに歌おう、あるいは発声上の脱力を狙おうとする姿勢は評価したい。毎回何がしか課題をこなす、あるいは持ってくることは研究熱心の証だろう。

Dorettaのアリアは、高音の発声を研究した。
背中でブレスをする意識を持つことで、喉が上がるのを防ぐことと、口先を中に入れるようにアーティキュレーションすること。
それは、オクターブで練習することから生まれた。高音側が喉が上がってしまうからである。
これが2~3回の練習で上手く行くようになったのは、これも今までの積み重ねだろう。
以前は上手く行かなかったのだ。
彼女の頑張り、行動力、俊敏性に拍手したい。この調子で本番まで頑張って欲しい。

FT

今日は彼の研究結果、元々が胸声のまま高音を出すこと、あるいは課題の鼻腔発声にこだわらないことで、結果的に彼の出しやすい高音で、プログラム3曲をこなす、という方向で固まった。
結果的に、どうにか喉が上がって破綻しない発声で歌いとおすこと、に目標を定めたい。
Apertot(開ける)発声で全部通すということ。
そのため、頭声がほとんどない胸声の傾向が強い声なので声質の粗さは否めないが、音程は悪くないし良いと思う。
イの母音による高音は、それならそれもなるべく開けて、アに近く発声した方が危なくないと思う。
良く研究されているようだが、ピアノとのバランスで無理をしないように。
ホールは良く響くので、恐らく頑張らないで出来るから大丈夫だろう。