FA

昨年から続いている気管支炎がまだ残っているようで、咳が時々出てしまうが、喉はまったく問題ない状態。
むしろ良い状態という意識を持てないせいで、逆に気負いや力みがないために、それが良い方向に「災い転じて福と為し」ている感じである。

それは中低音を脱力すると、とても良い声になることである。
去年、夏のコンサートの前にも良い状態の声になったけど、中低音の声は今のほうが声量が出てきたし、響きも肉厚になったと思う。

また、発声でこちらが教えるコツの飲み込みが速くなり、また上手くなってきた。
中低音から中高音に移行する発声も、ちょっとした喉の深さ、開きの意識を持つだけで自然に
上手くチェンジ出来るようになっている。
2点Cが換声点だろう。この感覚を覚えておけば良いと思う。

後は、実際の歌で発声での良い声を活かすか?ということと、2点F以上のもう一つの換声点以降の発声が課題だろうか。
取りあえず今は当面の目標の曲で最善を尽くせば、自ずと高音は応用出来ると思う。

実際の曲でやった一番大事なことは、声のアタックであろう。
出だしの声を宙に放るのではなく、地面にぶつける意識の方が良いようである。
出だしの声の息の強さに指向性が出るために、自然に喉の開き具合と呼気との関係が決まるのであろう。

それから要所要所の母音も、そこにマルカート記号がなくても、あるかのごとく、ぶつけるくらいで歌うこと、である。
それは、ややもすると弱すぎる彼女の声のアタックを立て直すのにとても役立つ。
これらのことは、特にLe voyage a Parisで有効だったし、他の曲でも同じである。
Montparnasseはやり過ぎないように。

HotelやLa grenuoillereもアタックは大切だが、同じ位にフレーズの終わりを早めに身じまいすることが大切である。
見た目を楽譜どおりに処理すると、おおむね次のブレスタイミングが遅れてしまうのである。
だから、フレーズ最後の処理は見た目を早めに感じる位に処理してちょうど良いのである。

ブレスの後れは次のブレスのタイミングに悪影響を及ぼし、そのことが声のアタックの準備を悪くするため、歌全体に大きく広がって行く大きな問題点である。
だから、この処理が上手くなること=歌が上手くなる、発声が上手くなることにつながると言っても過言ではない。

Hotelでは高めの声で、喉が上がらないように姿勢に注意!
La grenuoillereは、Ma cigaretteのportamentoでGaを充分伸ばしてから降りるように。
Petit bateauは2小節1ブレスで!
最後のL’ileは音程を気にしないで脱力して。

そしてMontparnaseでは歌詞発声の時の口周辺から喉の脱力であろう。
3曲通してみて、特にMonparnasseになると、ぶつけることが逆にやり過ぎてしまい、歌詞の発音が強くなりすぎてうるさい歌になってしまった。

母音をアにして、それだけで一度歌って見てもらった。
それも、極力脱力して、音程すら気にしないくらいにである。

そしてその感覚で歌詞を歌ってもらうと、見違えるほど滑らかで音程も上ずらない落ち着いたレガートな歌になった。

この歌詞発音の脱力は、どの曲でも、たとえその曲がテンションの高い陽気な曲であっても
発声上は大切なことでぜひ覚えてもらいたい。