TSK

久しぶりだった。
早速フォーレの「イブの唄」の2番から。
中低音は響きにくいが、中高音から気持ちの良い清々しい声が聞こえてきた。
このような曲をピアノとアンサンブルする気持ちよさが味わえる彼女の歌であった。
9曲目、10曲目も同じように。
低音は思い切って下の声区に完全に変えたほうが気持ちの良い音楽になる気がする。
積極的に使ってはいかがだろう?

次に歌ったプーランクのTu vois le feu du soirは、音程差が激しく、特に高音が厳しい。
高音は勢い張った発声になるので、逆に高音の声区のチェンジが出来難くなっている。
少しファルセットのような軽い楽な高音の出し方に限定して練習すると、高音がもっと
楽に出せるポイントが見つかると思う。
特に最後の2点Gはメッザヴォーチェが必要なので、このチェンジした軽い頭声は練習する価値があるだろう。
盛り上がりの高音は、これは叫んでも良いから勢いで歌って欲しい。発声の理屈よりも、そこから始まるということ。

La grenouillereは、とても綺麗に歌えている。鍵は低音のチェンジ。
下の声区を決めて出した方がずっと音楽的だし、綺麗だ。
彼女の声は段差がないし、もっと積極的に使ったほうが良いだろう。

最後にフォーレのL’absentを。
これも低音は下の声区、そして後は本人に任せて自由にやってもらったが、切り替えが絶妙に上手い。
なんら問題ないので、積極的に使って欲しい。

KM

彼女も実に数ヶ月ぶり。
初期段階なので、先ずは身体をリラックスさせるように、低音から発声を始めた。
上半身を楽に左右に揺すりながら、下顎を良く下ろして、舌先も脱力するようにして
母音で発声練習となった。

ある程度良い声になってきたら、今度は少し高めを練習。
発声練習の声はとても良くなった。

強いていえば、2点Cから上、特に2点E辺りから、喉が締まって、喉で歌ってしまう点を
これから練習して行きたい。

ハミングでファルセットのような声を2点F以上で練習しようとしたが、無理があった。
相当頑固な喉の癖が出ているようである。

まず、口が開かないという点。これも解決したい。
顎と舌の脱力を、歌うことと同時に見つける方法。
お腹は前腹を使いすぎないで、むしろ声を当てる場所だけを決めるほうが良いだろう。
そうすることで、お腹は自然についてくるだろう。

コンコーネは3番~5番までを練習。
良く譜読みしてあった。
声もむしろ、発声練習よりも良い声が出せていた。
発声練習も良し悪しで、あまり機能的にやっても良い結果が出ないと意味がない面もあるだろう。

最後にイタリア古典からOmbra mai fu
こちらも、予想以上に良く歌えた。

OK

発声練習をハミングから始めた。
身体、特に上半身が腰の上に乗って、楽な状態を大切にするため、左右にブランブランと振り回しながら発声練習をした。
下顎も充分降ろして、喉が自然に開くようにしながら、中低音を中心にハミングの練習。
次に2点Aくらいら母音で下降形を。

前回のレッスンの課題を覚えていて、ブレスを入れる場所を目の後ろ、あるいは軟口蓋辺りという方法論が守られたせいか、
特に2点C以上の声の響きにおいて良いポジションが直ぐに出来てきた。

以前は発声の考え方は管楽器的ではなく、という教え方をしたのだが、今になると管楽器的というほうが、分かりやすいし理解しやすいだろう。
なぜか?というと、以前は喉で管楽器を作る癖があって、大量の呼気と喉の負担のある使い方をしていた癖が、影を潜めたからである。

それは、結局同じ事をしていても、喉を無理やり下げなくても、目の奥の空間でブレス、あるいはそこにブレスを入れるというだけで、良い意味での管楽器のリードやマウスピース的な状態が出来つつあるということである。

曲は「夢の後に」から。
前回の良くなった点をそのままで、更に進化できた。
声の響かせ方は覚えつつある。後はフレーズを歌いきるための、声の配分である。
たとえば、出だしであるが、Dans un は使いすぎないで、次の2つの3連符でなるべく使って、残りを任して出し切るように。
それから、低い音で始まるフレーズの前のブレスで、低音の声に戻れるようにリラックスできるよう意識すること。ブレスそのものの意識として深いところに入れる、あるいは深いところから出す感覚であろう。

「月の光」懸案の中間部の3拍子は、どうにか理解してもらえたようである。
伴奏が16分音符のせいか、ボーカル部分も16分音符で捉えようとしていたようだが、四分音符で3つで感じたほうが良いと思う。
声は全体にとても良い。
この調子を維持してほしい。