NS
発声の声はとても軽やかで綺麗な声だった。
このところ、2点G以上の声が、軽くて力みがなくとても良い。
今日はドビュッシーのNuit d’etoileから。
大体良い感じに歌えているが、冒頭の旋律が少し力むためにニュアンスに欠けた印象が残る。
もっと軽やかに楽に歌うために、テンポを見直した。
Allegro moderatoだから、もっと早くて良いのである。
そうしたら、力みが抜けてとても良くなった。
Uの母音が前過ぎないように。
ドビュッシー、次のBeau soirが、なかなかの難物であった。
発音も歌も綺麗に歌えているのだが、先ずリズムがきちっとしない。
3連符の伴奏に惑わされて、歌の旋律の8分音符の連なりが流れてしまう。
3:2という関係で、逆に6/8の2連符に感じるくらいで丁度良いのである。
足取りを重くというか、踏みとどまる感じ、である。
特に出だしのLorsqu’au soleilのau soleilの8分音符には充分に注意。
ピアニストさんは、基本テンポを4分音符60以上にならないようにしたほうが良いだろう。
最初から飛ばすと、歌手とピアニストがぐずぐずになってしまう。
Bleの発音は狭いeだが、きちんとエと発音すること。絶対にイと聞こえないように。
狭いeがイに聞こえるのは非常にかっこ悪い。
それから、5線譜のファからドの間の音域の声が、力むことで喉を掘ってしまってピッチが低くなることに注意して欲しい。
ピアノの和音とその関係で歌の旋律を捉えればピッチのことが自然にわかると思う。
声だけで中低音を処理しようとすると、必ずピッチが低くなってこもった暗い歌になってしまうから、充分に気を付けて練習して欲しい。
アの母音などは、エから作って応用すると、ピッチの高い響きが作れるであろう。
最後にフォーレの2曲。
「蝶と花」
これ、彼女に教えていてひらめいたのだけど、もっともっとシャンソンの味わい、語りの味わいで、クラシックの正統派というより、良い意味でカフェ・コンセール(キャバレー)風に歌うと雰囲気が出て良いし、面白い。ただ綺麗に歌っても感興が湧かない。
基本的には、Allegro non troppoとあるが、もっとゆったりと歌うと良いだろう。
そのことで、発音がきちんとなるし、中低音の声の響きの処理も余裕が出る。
そして何よりお芝居が出来る。
お芝居の方法については、語り(朗読)のスタイルで、ト書きと途上人物の語りの違いみたいなものを良く出すことである。
最後の3番だけは早くして良いと思う。
そして、いずれも節の間の間奏は歌のテンポより速くさっさと弾き込むことである。
「5月」は声も音楽も言う事がない。素晴らしい!
発音の間違いは、何度も直していると思うが、思い込みというか癖と言うか!
くれぐれも正確に発音すること、そしてそれを速く把握して欲しい。
OK
今日は、結果的にとても良いものを掴んでくれたレッスンとなった。
最初はどうも中低音の声が地声っぽくて、直すのに苦労をした。
結論から言うと、やはり歌う姿勢が鍵になると思う。
一つは顎が出ないこと。
そして、動かないこと、である。
ブレス、息を吸うことに汲々として、顎が前に出、首が伸び、そして結果的に喉頭がぐらぐらになって悪循環に陥るのである。
ブレスは、息を吸うこともあるが、むしろ声を共鳴させる場所を積極的に意識することである。
そして、発音器官である、喉頭を動かさないようにするための姿勢をきちっと取る事。
そのことで、必然的に声のアタックが決まる、というか決めざるを得ない、もうそれしかない姿勢になれば
何も意識しなくても声は出だす、という状態を作らないといけない。
ブレス時は、横隔膜の働きのためにも、下腹部はしっかり支える意識を持った方が彼女の場合良さそうである。
フォーレの「夢の後に」から。
何度も通したり部分練習をした。
大分、1フレーズをブレス無しで歌えるようになったが、まだまだ息で無理をして出している発声の感。
未だに悪い癖は、下顎から舌根に力が入ってしまうこと。
そして、その分を過大な呼気の力で押し出す発声になる。
このために、必要以上に息を使うから、ブレスが苦しいのである。
もっともっと喉頭の状態に意識を持って行くこと。
それが確立すると、最小限のブレスで声は効率よく出るポイントがあることが、判るはずである。
喉頭は、簡単に言えば、顎を出さないでむしろ顎を引くことで、逆に舌根や下顎に無理な力みをかけないで済むのである。
また、顎を引くことで、必然的に喉頭の位置決めが出来るから、声のアタック(声の出だし)で迷わないで済むのである。
そして、ブレスとか声の状態を決めるためには、下腹部をしっかり支えることも良い効果があるようだった。
この練習が一番効果的だったのは、次の「月の光」であった。
姿勢が決まってくると、喉頭の場所がはっきりしてきて、自然に声の出だしが決まるようになった。
声の出だしさえ決まれば、後は芋づる式に良くなる。
一つだけ、下降形のフレーズでは、特に2点C以下の音域では、響きを絶対に落とさないように。
響きを頭に入れるように、そのために下腹部をしっかり支えること。
「月の光」での練習が功を奏して、再度やった「夢の後に」ではブレスがかなり自然になってきたし、
驚いたのは、苦しそうだった顔つきまでが自然な集中力に満ちた顔になり、動かないで響きを追った歌い方が出来るようになったことである。
今日の結果はとても良かったので、少し間が空くが次回まで忘れないようにして欲しいものである。