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発声練習は、このところ他の生徒でもやっている、上あごの使い方を練習した。
単に上向フレーズの練習の際に、上に昇る連れて、上あごを上げるようにすること。
あるいは、そのために、上唇を持ち上げて、上歯が見えるようにすること、である。
それだけで、軟口蓋が上がるので、自然に響きが鼻腔に入るようになるのである。
ただし、下顎で支えていないと、喉も上がるので注意が必要。
この上あごの動きは、当然、下顎とのセットである。
下顎の働かせ方は、喉が上がらないようにすることに繋がるので、上あごを上げることと、下顎を微妙に降ろすことは、
常に一対のことである、と理解して欲しい。
今日はやらなかったが、この上あごを上げることと、下顎を下げるという場合、下顎は後ろに引くように使うことで、上あごが自然に上げやすく、この動き方が一番、喉が開いてかつ軟口蓋が上がったポジションが取り易いのでる。
これらのことはバランスであり、音形やフレーズの形で、下顎をより多く降ろすのか?上あごを大きく上げるのか?両者を微妙にバランスを取るのか?という使い方によって、喉の開き具合、響きの変わり方を身体で感覚で覚えて行くのである。
今日は、久しぶりにリヒャルト・シュトラウスの「9月」と「春」をさらった。
とはいえ、音楽的なことよりもフレーズ毎に声の扱いを練習した。
彼女の今の発声の課題を少しでも良く処理するため、という方向性である。
特に「眠りの時」は、細かい流れるような春の気、喜びを表す音形が、中高音域で出て来るが、下方から持ち上げた声帯の太い辺りだけで出してしまうと、音程が少し♭気味に聞こえるし、滑らかさに欠けてしまう。
裏返る寸前、あるいは裏返る意識を常に持って対処することか、今日の発声練習でやったように、上あご、上唇の使い方で上歯が見えるようにアーティキュレーションするだけで、頭声の混ざった声になるのが、分かったと思う。
「9月」は、長い音符や、長いフレーズの扱いである。
ブレスは、ほぼ充分な長さが保てるようになったので、言うことは無い。
中音~高音にかけて、やはり喉の突っ張りが気になる声だが、これは喉がきちっと繋ぎ留められていない印象である。
基本的な声のポジションとして、もう少し深いブレス、あるいは開いた声帯、を声の出し始め、ブレスから大切にして欲しい。
そのことで、深い柔らかい中低音の声になるし、この声があれば、自然と中高音の滑らからな開いた頭声の混ざった声に移行できるのである。
今日の発声で覚えた、或いは出来たことは、とても大切なことで、有効である。
一つだけ、喉が浅く、声帯が当たり易い状態であることが気になる。
いわゆる喉の浅い声である。
これが、上向形フレーズでの、喉を押した声につながりやすいからである。
喉を意識して深くした声は、良い声とはいえるが、やや舌根や下顎で無理に作った感が否めない。
顎を引くことや、後頭部から首のうなじにかけての張りをしっかり立てた姿勢になれば
作らなくても、自然と喉の良いポジションが出来るだろう。
後は、下顎の柔軟さやや、今日練習した上あご、上唇、などの使い方で、頭声の混じった滑らかさが出せると思う。
発声の一つ一つのポイントが定まってきたので、後は歌の中でそれらをどう組み合わせて対処していくか?これはひたすら、数多く歌い込むことのみによって、身体で覚えて行くしかない。
だから、一つ一つのポイントを常に忘れないで対処できることが、先ず大切だろう。
追記:「春」ではなく「眠りの時」だった。
確認できないところでそのまま書いたミステークをお詫びします。