WH

声を温める程度に発声をやってから、曲の練習に。
高音が大分楽な印象だったので、どんどん昇っていくと2点Dくらいまで綺麗に軽やかに回る声になった。
その分、中低音も軽くなったが、以前の喉で作る中低音ではないので、良いと思う。
ただ、呼吸による自然な喉の深さは、出来るようになって欲しい。
この辺りは、常にレッスンで確認してチェックしたい。

曲はミミからQuando m’envoから。
この曲を選んで正解だった、と一声聞いて思うくらい彼女にピッタリの曲である。
最初と最後に出てくる高音2点hも難無く軽やかに決まっている。

中音域は、やや軽い印象が強いが、慣れればもっと声は出せるだろう。
修飾音符の扱いも良いと思う。
中間部で、リタルダンドの強くかかるフレーズが2回出てくるが、役柄と歌詞の意味を良く理解した上で
自分の意志で良くそれを表現して欲しい。

最後にベッリーニの「清教徒」からSon vergin vezzosaを練習した。
概ね譜読みはやっていてくれたので、後は歌いこみあるばかりである。
譜読み段階としても、声を変に抑えないで、発声を大切に少しずつ練習して欲しい。
喉を痛めないようにするため、でもある。
特に高音のフレーズは、落ち着いて焦らずに、を大切に!

TY

今日はコンコーネの13番から15番までを練習で始めた。
移動ドと固定ドの違いを教えたが、彼女は実はある程度の絶対音感を持っていることを知った。
前から固定ドで歌っていたのだが、どうもドレミファを言うことを間違えて、音だけを取れているので、別に音名唱方に拘らなくても良いのでは?と思っていた。
ところが、どうも初見でやってみると、何となくドレミファで歌う方が音は取り易いようである。
要するに固定ドでも、音を取るための役に立っているが、口が付いていかないということなのだろう。
結局固定ドで歌うことに。

移動ドについて聞かれたが、音楽理論と頭を余計に使う訓練程度に考えれば良いのでは?
と、答えた。勿論、私のように絶対音感がなくて、簡単な譜読みの助けにするためには
移動ドを覚えるしかなかったのだが。

最後にKlazy for youからI can’t be bothered nowを聞いてくれ!とのことで、
伴奏を弾いて歌ってもらった。
彼女、本番では男役なので、これをオクターブ下げて歌ったが、さすがに厳しい。
高い音に上がると、チェンジしそうになってふらつくので、お腹でしっかり支えるように、
胸に当てるように、と教えた。

しかし、ガーシュウィンの作品とは知らなかった。
昔風のジャジーな曲で楽しい。
本番が楽しみである。

FT

今日もTu canun chiagneから始めた。
彼らしいイメージの歌声で力強い、歌いだし。
結果的に2番の最後に上げる高音2点Aの声が上手く行けば良いと思った。
結果的に上手く当たったのだが、今日は当たりすぎて、声帯を酷使したのがむせてしまった。

これがけちの付け始めで、後々色々やったが、ことごとく上手く行かない羽目に陥った。

私見では、彼は高音の勢いが強すぎると見ているが、これも本人の感覚で、本人が
その意識を持たない限り、なかなか難しい。

確かに、声は出さないと支えがなくなって、かえって高音が喉が上がるという意見は良く分かる。
分かるのだが、だからといって出しすぎも良い結果を招かないのも事実である、と思う。

オーソドックスに発声を地道に重ねれば、少しずつ高音が伸びていく、と思うが
楽しみでやっているレッスン。面白くも無い歌いたくも無い曲で、やっても気持ちも入らないし
それでは、高音も頑張れないだろう。
この辺りが、教える難しさである。

しばらくは、今の彼には高すぎる高音をあきらめて、もう少し低めのところでも
高音的な発声を維持しないと歌えない、というような曲を選んで勉強してもらうことになった。
トスティ辺りの選曲になるのであろう。

AC

今日はドビュッシーのC’est l’extaseを細かく練習した。
全体に、声の扱いに繊細さを出そうと意図した。
そう意識してもらうことで、この曲のアンニュイでエスニックな雰囲気が出せれば成功だから。

この曲、特に歌いだしはシンプルなメロディであるのだが、曲想が表している雰囲気を充分に
表現するために、声を密にして、ノンビブラート、そして真っ直ぐに抑制したフレーズを心がけてみた。
そして、次のフレーズはテンポが少し乗り出すが、テヌート記号を付けて歌う意味を自身で良く理解してみてほしい。なぜテヌートがついているのか?である。

後は、Cela ressemble au cri douxの高音は、くれぐれも出し過ぎないように、抑制して欲しい。
そして、後半の盛り上がりへのAnimatoは、充分に駆け抜けよう。
以上、伴奏の力量がかなり問われると思う。
声楽家だけでは、出来ないことが多いからである。
要するにメリハリがはっきり付くこと。

フォーレのSoir
出だしの1点Fという低音で始まるこの曲。
声の響きがかすらないように、きちっと良く響かせて始めて欲しい。
後は、Oの狭い鼻母音、VontとSonとは細く狭い母音である。
Queの曖昧母音も狭くなり過ぎないように。
Mets sur mon frontからの節は、Soit comme un lysから徐々にクレッシェンドを大切に。

後半、コーダにかけての盛り上がりは、なるべく1ブレスのポイントで歌って欲しい。
すなわち、Le raconteとTes yeuxの間である。勿論最後のEt si douxの前は入れるべきだろう。
これは理屈というよりも、歌声による青い空のような広大なフレーズ感を出して欲しいからである。
それも出来ないわけではなく、出来るから。

Arpegeは、全体に声を抑えない方向でさらっておいて欲しい。
伴奏が付いた時点で、色々考えたい。

カルメンのハバネラは2番の歌詞の発音を良く練習しておいて欲しい。明解にである。